I はじめに 上板町は讃岐山脈の南面、板野郡のほぼ中央にあり、東は板野郡板野町・藍住町と、西は板野郡吉野町・土成町、南は吉野川を境に名西郡石井町、北は讃岐山脈をへだてて、香川県大川郡引田町とそれぞれ接している地域である。 本町の植生はすべて代償植生であることがわかった。その理由として、江戸時代より製糖がさかんになり、そのための燃料材の伐採とアカマツの植林が行われたこと、及び山火事が度重なったことが考えられる。 調査期間が少なかったため、所期の目的は十分には達せられなかったが、調査できた範囲で報告する。この報告をまとめるにあたり、調査にご協力いただいた上板町・県林業課の方々に感謝する。
II 自然環境 1 地形 本町は北の讃岐山脈と南の吉野川とにはさまれた、北に高く、南に低い地形である。 平地部の中央から南よりに宮川内谷川が蛇行しながら東へ流れている。 讃岐山脈には最高峰の大山(691,3m)とそれに連なる500〜600mの山々があり、そこから泉谷川、宮ケ谷、盗人谷、大谷等が南東に流れ出し、宮川内谷川に合流している。谷が平野に流れ出した所には扇状地が多くみられる。 山地面積は1316haで町全体の39.5%を占めている。 2 地質 讃岐山脈は中生界に属し、和泉砂岩からなっている。この和泉帯の南端は本町をほぼ東西に横切る中央構造線で、主に結晶片岩からできている三波川帯に接している。 3 気温・降水量 徳島気象台の観測資料による市場町の月別平均気温(表−1参照)をもとに、吉良の暖かさの指数を計算すると108.9m.d.となる。
更に市場町の平均気温から上板町大山山頂の月別気温を気温の減率を使って算出すると、暖かさの指数は94.3m.d.となる。森林植生の中で暖温帯林は85〜180m.d.であり、本町はこの範囲内に位置づけられる。即ち自然植生としてはタブ林・シイ林・カシ林が出現する所である。
III 植生概観 本町の山地はほとんどアカマツ林で、その他にコナラ林・ウバメガシ林などが見られる。 他にニセアカシア林・竹林等があり、いずれも代償植生である。 神社の周辺に残っている社寺林は比較的自然状態を保持している場合が多い。本町の神社をまわってみると、神宅の殿宮神社にはムクノキ、エノキ、アラカシ、ナナミノキ、イタヤカエデ、カキ、ムクロジなどが残っており、又上六条の十二神社には直径54cmのアキニレが見つかった。神社には共通して、ムクノキ、エノキ、クロガネモチ、イチョウが見られた。これらの植物から推定すると、暖温帯としての原植生はエノキ−ムクノキ群団(奥田 1978)やヤブコウジ−スダジイ群団(宮脇 1971)に属すると考えられる。 また、平地部では北部の扇状地にはカキ・ミカンの果樹園が広がり、宮川内谷川から南には水田が多くみられる。
IV 調査方法 1975年撮影の航空写真(SI−75−IXC1
18−20,C2
18−20)で判別した群落を1/25000地形図上に記入し、現地で修正・確認をして現存植生図を作成した。(付図−1参照)植生区分は後述のように景観による区分として50×50m以下の群落については表記を省いた。
各群落を代表すると思われる所で、できるだけ均質な場所を選び、最小面積(1〜225平方メートル)以上になるよう調査区をもうけた。そして、その中に出現する羊歯植物以上の植物について階層別(I〜IV層)にBraun-Blanquet(1964)の方法に従い、被度・群度の測定を行った。 Ellenberg(1974)のテーブル操作法によって、各群落識別種群を引きだし、各群落の総合常在度表を作成した。(付表−1参照)
V 調査結果とその考察 踏査コース及び調査地点は図−1のとおりである。
代償植生 〔1〕アカマツ群落 アカマツ群落は一般に森林の伐採放置・焼跡放置・植林等により生じる。そして、“松林は単に一代だけで終わらずその伐採跡に、半自然的に再生し、長く松林として存続し、次第に天然林化する”(23)といわれるが、本町の場合も、その例外ではない。 徳島県のアカマツ林ではアカマツ−モチツツジ群集(鈴木時夫 1966)とアカマツ−オンツツジ群集(鈴木時夫 1964)とが報告されている。 アカマツ−オンツツジ群集は最近神山町・山城町・池田町で報告されたが、讃岐山脈ぞいの脇町・市場町・上板町では2つの群集の境界は明確でなく、むしろアカマツ−モチツツジ群集が優占し、アカマツ−オンツツジ群集は山地の上部にごくわずか、弱く出現する傾向がある。 調査区数27をテーブル操作して、次のように群落区分することができた。(付表−2参照) 〔1〕−I コシダ群 群落識別種 コシダ、フジ、ネズ 海抜70〜540m付近ではアカマツの間伐・伐採などにより、林内照度が高くなり、次第に草本層がコシダでおおわれ、瘠悪林の特徴を示すネズが出現する。これはアカマツ−ネズ−コシダ基群叢(23)に相当する群落である。 草本層がコシダでおおわれているため、他の植物の侵入が困難で、出現種数も少ないのが特徴である。
〔1〕−I−1 ヤマハギ亜群 群落識別種 ヤマハギ、ススキ ヤマハギ・ススキは森林発達の初期にでてくる陽生植物である。アカマツの樹高も低く、亜高木層の発達も十分ではない。 〔1〕−I−1−A ナツハゼ変群 群落識別種 ナツハゼ 平均出現種数 18.2種 ナツハゼも日当たりのよい所に分布する。アカマツは高木層になく、樹高6〜8mの亜高木層に出現する。草本層が100%近く、コシダでおおわれていて、他の植物が侵入する隙間もない程である。傾斜はゆるやかで5〜30゜である。 〔1〕−I−1−B クチナシ変群 群落識別種 クチナシ 平均出現種数 19.7種 常緑低木クチナシで識別できる群落であり、ナツハゼ変群より、出現種数の多い群落である。 〔1〕−I−1−C 典型変群 平均出現種数 33.5種 アカマツの樹高もクチナシ変群より高く、草本層のコシダも次第に少なくなり、ソヨゴ、ヒイラギ、ミツバアケビ等が増加し、アカマツ林として、より発達したものと思われる。 〔1〕−I−2 ウラジロ亜群 群落識別種 ウラジロ 平均出現種数 25.1種 讃岐山脈200〜540m付近に分布し、草本層では、ウラジロが増加し、コシダが減少している。傾斜は30〜45゜と比較的急な所である。
〔1〕−II カマツカ群 群落識別種 カマツカ・コウヤボウキ 海抜500〜670mの讃岐山脈上部に分布する群落である。コシダ群に比べ、アカマツ群落としては、より遷移の進んだものと思われる。 大山頂上付近は寺の所有林であったため、下部のものに比べ、人為的影響をうけることが少なかったことによると考えられる。それは図−2の胸高直径と海抜のグラフで、カマツカ群が右上に位置していることからわかる。 〔1〕−II−3 ナワシログミ亜群 群落識別種 ナワシログミ、ナガバモミジイチゴ、ケクロモジ、サンショウ、ウリハダカエデ 大山山頂から尾根ぞいの海抜580〜670m付近のアカマツ林でケクロモジ、ウリハダカエデのような中間温帯林に多い種が出現する。アカマツの樹高は10〜16mもあり、林内の上部は80〜90%もおおわれており、そのため、草本層の受光量は非常に少なく、植被率も5〜10%ときわめて少ない。
〔1〕−II−3−A イヌガヤ変群 群落識別種 イヌガヤ、シハイスミレ、ヤマジオウ、イボタノキ 平均出現種数 30.2種 海抜610〜670mに出現しているアカマツ林である。 〔1〕−II−3−B 典型変群 平均出現種数 27.0種 海抜580〜610mに出現し、出現種も少ない。 〔1〕−II−4 典型亜群 平均出現種数 31.3種 カマツカ、コウヤボウキのみが群落識別種として出現する林である。 〔2〕 コナラ群落 コナラ群落には今までに、コナラ−クリ群集(横川1959)、ミズナラ−クリ群集(堀川・佐々木1959)などが知られているが、まだ十分には整理されていないのが現状である。 本町の場合、アカマツ林が尾根を中心に分布し、コナラ林は谷脇や山頂を中心に分布している。 今回は海抜450〜480m付近の中腹と640〜691mの山頂付近のものを合わせて13か所調査した。テーブル操作の結果、次のような群落を識別することができた。(付表−3参照) 〔2〕−I ウリハダカエデ群 群落識別種 ウリハダカエデ、イワガラミ、コツクバネウツギ、モミ また大山山頂付近に出現する群落である。コナラ等の樹高も8〜10mと低く、林内も比較的明るい。
〔2〕−I−1 テイカカズラ亜群 群落識別種 テイカカズラ、コバンノキ 平均出現種数 33.8種 海抜691mの山頂に出現している群落である。 〔2〕−I−2 典型亜群 平均出現種数 27.7種 山頂から少し下がった640〜670m付近の群落で、テイカカズラが出現しない群落である。 〔2〕−II ヤブツバキ群 群落識別種 ヤブツバキ、ヤブニッケイ、シキミ、シロダモ、マルバウツギ 平均出現種数 36.4種 海抜450〜480mに出現する群落で、出現種数も、ウリハダカエデ群に比べて多く、コナラ等の樹高も少し高い。
〔3〕ウバメガシ群落 ウバメガシ林は全国的に海岸のものはウバメガシ−トベラ群集(鈴木・蜂屋1951)その他にまとめられている。本町のウバメガシ林は泉谷川上流に分布している。香川県の海岸から最短距離で約7.5〜8km南に位置しており、海岸のウバメガシ−トベラ群集とは明らかに種構成が異なっている。 そこで、内陸のウバメガシ林としてはウバメガシ−コシダ群集(今井1965)が知られているが、種構成より検討すると結びつきが弱いように思う。 このようなウバメガシ林については山中(20)は「かつてあった乾燥期にはウバメガシが内陸に分布していたなごりであり、気候の湿潤化によって、照葉樹林が広がり、そのため、おもに海岸の乾燥地に生育の場を保っているのが、ウバメガシ林の現状であろう。だからこれも一つの遺存群落とみなすことができる」といっている。
本町の場合、種構成ではアカマツ群落構成種が多数出現する。 そして、アカマツ郡落より更に、土地環境の悪い露岩地に分布していることがわかった。 かつて薪炭材として切り出し、現在はひこばえより成長し、樹高も5〜6m位である。 このようなウバメガシ林はめずらしい群落で、県内に散在し、那賀川上流などにも分布する。 この群落を19か所調査した結果、次のように区分できた。(付表−4参照) 〔3〕−I ヤブムラサキ群 群落識別種 ヤブムラサキ ツクバネウツギ、サルトリイバラ 海抜300〜400mの尾根、斜面下部の露岩地の群落である。 〔3〕−I−1 ウンゼンツツジ亜群 群落識別種 ウンゼンツツジ、ヒイラギ、ヤブコウジ、ヤブイバラ 北西斜面を中心に傾斜は40〜50゜あり、露岩地下部の湿った土壌にウンゼンツツジ、ヤブコウジなどが出現する。なおスゲの一種が出現するが、未同定なので、随伴種に入れた。
〔3〕−I−1−A ヤマツツジ変群 群落識別種 ヤマツツジ、ヤマハギ、イタビカズラ 平均出現種数 25.5種 北西斜面の傾斜角度が平均50゜の所である。 高木層・亜高木層がなく、低木層と草本層とで構成されている。伐採後まだあまり生長していない初期のものでないかと思う。 〔3〕−I−1−B ウラジロノキ変群 群落識別種 ウラジロノキ、ナンカイアオイ 平均出現種数 19.7種 樹高6〜8mあり、亜高木層は100%近い植被率で草本層の受光量は少なく、ナンカイアオイなどのように光補償点の低い植物のみが生育できる林である。 〔3〕−I−2 典型亜群 平均出現種数 18.5種 ウンゼンツツジなどが出現しない林で、草本層も、植被率が少ない。ヤブムラサキなどがごくわずか低木層・草本層に出現し、あとはほとんどウバメガシがおおっている林である。 〔3〕−II 典型群 平均出現種数 13.6種 ヤブムラサキ群の識別種のない林でウバメガシが100%近くおおっている所と20%位の所とがある。草本層は比較的植被率が高いのが特徴である。 〔4〕シイ・カシ萌芽林 泉谷川ぞいに帯状にごく僅か分布している(付図−1参照)。かつて原植生としてのシイ林があったと思われるが、今はシイは数本残っているにすぎない。シイの樹高も8〜10mで傾斜角度70゜、方位N80Wである。
主な構成種は次のとおりである。 コジイ(3.3)、アラカシ(4.4)、ノグルミ(1.1)ヤマザクラ(1.1)、コナラ(1.1)、ヤブツバキ(1.1)ネズミモチ(1.1)、マルバアオダモ(1.1)、ヤマウルシ(+)、ミツバアケビ(+)、ツルマサキ(+)、アセビ(+)、ススキ(+)、コバノガマズミ(+) 〔5〕 伐採跡群落 群落識別種 アカメガシワ、ベニバナボロギク、コウゾ、サネカズラ、クスギ、ダンドボロギク、オオアレチノギク 平均出現種数 31.0種 盗人谷川上流左岸の海抜130mに、アカマツ林の伐採跡があった。(付表−5参照)伐採によって、針葉樹(アカマツ、スギ……)はわき芽を出さないが、一般に、広葉樹はわき芽を出す。伐採跡では陽生植物のベニバナボロギク、ダンドボロギク、アカマツなどが風による種子散布により発芽し、伐採によるわき芽の生長との競争がはじまる。 伐採跡にはベニバナボロギク、ダンドボロギクなど、キク科の帰化植物が出現するのが特徴である。
〔6〕 焼跡群落 群落識別種 ヤマハギ、ヤマガキ、イヌザンショウ 平均出現種数 21.6種 本町では、明治時代から現在にいたる間に11回の山火事が起こっている。昭和55年2月11日泉谷よりアカマツ林がもえた。焼跡を同年9月に調査した。(付表−6参照)
草本層の被度が60〜80%である。主なものはコナラ(わき芽)モチツツジ(わき芽)、アカマツ ススキ、ワラビなどである。 〔7〕チガヤ群落 群落識別種 チガヤ、メドハギ、イヌドクサ、スギナ、キツネノマゴ、スイバsp、オトコヨモギ、ウツボグサ、カタバミ、カワラマツバ、オニタビラコ、ミヤコグサ、コナスビ、スミレ、ホソバヨツバムグラ 平均出現種数18.2種 瀬部の吉野川堤防で調査したものである。毎年何回か機械により草刈がなされている。川辺のメドハギ、イヌドクサ、カワラマツバ等が侵入している。(付表−7参照)
〔8〕ススキ群落 群落識別種 ススキ・ドクダミ、ニガイチゴ、スイカズラ、ゲンノショウコ 平均出現種数 10.6種 海抜383mの大山畑の放置した畑跡にできた群落である。主な構成種はヘクソカズラ、ノブドウ、ノイバラなどである。(付表−8参照)
人工植生・耕作地植生 〔9〕採草地 海抜510mの大山寺西方にアカマツ林を伐採して中国・四国山地酪農中核試験場が設置された。昭和51年頃にはヒメスイバが播種されていた。昭和55年9月15日現在、採草地として利用されている。主な構成種は次のとおりである。 ススキ、オオアレチノギク、ウシハコベ、イヌタデ、イタドリ、カモガヤ、ヘクソカズラ、チカラシバ、シロツメクサ、シマスズメノヒエ、アリタソウ、アメリカスズメノヒエ、アキノノゲシ、ノダイオウ、ヒメムカシヨモギ、メリケンカルカヤ、アカツメクサ、タケニグサ、ニガイチゴ、ホドイモ
〔10〕竹林 讃岐山脈沿いに点々と分布している。今回はマダケ林、モウソウチク林、各1か所の調査をしたので、そのデータを示す。 〔10〕−I マダケ林 調査 昭和55年9月15日、場所 大山寺下、海抜440m、方位 S60E、傾斜 30゜、調査面積 15×15平方メートル ・高木層 樹高8〜12m、植被率95%、胸径7cm マダケ(5.5)、モミ(1.1)、カゴノキ ・亜高木層 樹高6〜7m、植被率5%
キヅタ、フジ、テイカカズラ ・低木層 樹高2〜3m、植被率5% ヒサカキ(1.1)、ヤブツバキ、アオツヅラフジ、オニドコロ、ニガガシュウ、コマユミ、テイカカズラ、イロハモミジ、サネカズラ、ノグルミ、ヤマウルシ、コシアブラ、ヤブムラサキ ・草本層 樹高0〜0.8m 植被率90% ミズヒキ(2.2)、タラノキ、ヤマムグラ、ゼンマイ、ドクダミ、イタドリ、キカラスウリ、カキドオシ、サネカズラ、フユイチゴ、クサギ、ツタ、チヂミザサ、フジ、キチジョウソウ、ベニシダ、ヤブニッケイ、イボタノキ、シロダモ、ヒメイタチシダ、ヤマアザミ、クマワラビ、イヌツゲ、ホドイモ、アオミズ、ベニバナボロギク、スイカズラ、ツルマサキ、ケマルバスミレ、ヤブムラサキ、ヒメドコロ、ヌスビトハギ、ツルニンジン、ノブドウ、カラムシ、コマユミ、カナクギノキ、サルトリイバラ、ヤブラン、ウバユリ、キツネノマゴ、コナスビ、イタビカズラ、ヤマイタチシダ、チャノキ、ジャノヒゲ、カゴノキ、アオテンナンショウ、ナガバノウナギツカミ、ナガイモ、フキ、ナガバモミジイチゴ、アオキ、ツクユサ、ヤブツバキ、ナワシログミ、ヤブマオ、ヒキオコシ、ヒヨドリバナ ※数字のないものは+ 〔10〕−II モウソウチク林 調査 昭和55年9月15日、場所 大山寺下、海抜400m、方位 S60E、傾斜 10゜、調査面積 15×15平方メートル
・高木層 樹高10〜15m、植被率95%、胸径10cm モウソウチク(5.5) ・亜高木層 樹高5〜6m、植被率5%、胸径18m ヤブニッケイ(1.1) ・草本層 樹高0〜0.8m、植被率5% キヅタ、サネカズラ、ドクダミ、イタドリ、ヒカゲイノコズチ、キチジョウソウ、マサキ、テイカカズラ、ジャノヒゲ、セントウソウ、ツタ、ヤブニッケイ、カゴノキ、チャノキ、ヒメドコロ、ハナミョウガ、ヘクソカズラ、ネズミモチ、ヤブラン、スイカズラ、タラノキ、サンショウ、アオキ、ユキモチソウ、ヤマウルシ、ハエドクソウ、ミゾソバ、ノブドウ、ベニシダ、ヤブマオ、コガクウツギ、モミ、イタビカズラ、ヒサカキ、ヤマジノホトトギス、ナツフジ、マンリョウ、ゼンマイ、ツユクサ ※数字のないものは+ 〔1〕ニセアカシア植林 ニセアカシアは讃岐山脈ぞいの崩壊地によく植林され、本町では盗人谷上流の海抜200mのダムの左岸に植林されている。この種類はマメ科の仲間で原産はアメリカである。日本には明治8年津田仙氏が持ち帰ったと伝えられている。この樹は浅根性で、萌芽力が著しく、緑肥・飼料として利用することができる。
調査は1か所のみなので群落構成を示す。 調査 昭和55年9月15日、海抜200m、方位 S50E、傾斜 40゜、調査面積 10×10平方メートル ・高木層 樹高10m、植被率90%、胸径33cm ニセアカシア(5.4) ・低木層 樹高4m、植被率10% ウツギ(1.1)、マルバウツギ(1.1)、イタドリ、ヤマウルシ、ナガイモ、コナラ ・草本層 樹高0〜0.8m、植被率20% カラムシ(1.1)、チヂミザサ(1.2)、ススキ、ササガヤ、ミツバアケビ、スイカズラ、ノブドウ、イノモトソウ、ヤマイタチシダ、ヤマアザミ、アシボソ、マンリョウ、ナワシログミ、クマワラビ、カタバミ、ヘクソカズラ、ヤブソテツ、サネカズラ、ナガバモミジイチゴ、ヒカゲイノコズチ、ウマノミツバ、ナガイモ、ナワシログミ、イボタノキ、サンショウ、ミツバ、ケスゲ、サイゴクべニシダ、ホシダ、タチツボスミレ、ジャノヒゲ、ヤマカモジグサ ※数字のないものは+ 〔12〕スギ・ヒノキ植林 泉谷川上流、左岸、海抜450mの谷ぞいにごくわずか植林されている。 〔13〕マツ植林 泉谷川上流、右岸、海抜200〜400mの谷ぞいに植林されている。 〔14〕水田 讃岐山脈の山麓や平地の大山、鍛冶屋東、栗ノ木を除く、ほとんどの地域が水田であり、その広さは905haである。中須賀から七條にかけて、夏の稲作のみの地帯がある。 〔15〕畑地 畑は78haあり、主に小麦、ビール麦、裸麦等が栽培されている。野菜はキャベツ8ha、タマネギ20ha、ニンジン17ha、ダイコン15haホウレンソウ19ha、ナス7ha、イチゴ7ha、スイカ10ha等が栽培されている。 〔16〕果樹園 大山町原西・原東を中心に柿が栽培されており、県下でも有名産地となっている。 栽培面積65haで71
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の収穫を得ている。又ミカン、モモ、ウメなども77haあり、平地・山地に分布している。
〔17〕桑園 栗ノ木、柚ノ木を中心に栽培されている。 〔18〕採石場 泉谷川上流の2か所で採石が行われている。
〔19〕ゴルフ場 上板町・土成町にわたる讃岐山脈の南麓を中心に開発されている。広さ189.56ha内、上板町の分は87.84haである。 〔20〕住宅地 人家のよく密集している地域は鍛冶屋東、内田、柚ノ木、川東、川西、泉谷である。南の高高瀬等では人家は散在している。
VI 提案 1.人間は生活していく上で、自然を利用しなければならないが、その際に、森林を一度に広く伐採したりすることがないようにお願いしたい。 2.本町のウバメガシ林は内陸のウバメガシ林としては大変重要なもので、今後共十分な保護をお願いしたい。
VII 摘 要 1977〜1980年までの間、計20日間、上板町の全域の植生調査を行い1/25000地形図上に現存植生図を描いた。そして各植生単位毎に現地調査をした結果、次のような群落が明らかになった。 I 代償植生 〔1〕アカマツ群落 I コシダ群 1 ヤマハギ亜群 A ナツハゼ変群 B クチナシ変群 C 典型変群 2 ウラジロ亜群 II カマツカ群 3 ナワシログミ亜群 A イヌガヤ変群 B 典型変群 4 典型亜群 〔2〕コナラ群落 I ウリハダカエデ群 1 テイカカズラ亜群 2 典型亜群 II ヤブツバキ群 〔3〕ウバメガシ群落 I ヤブムラサキ群 1 ウンゼンツツジ亜群 A ヤマツツジ変群 B ウラジロノキ変群 2 典型亜群 II 典型群 〔4〕シイ・カシ萌芽林 〔5〕伐採跡群落 〔6〕焼跡群落 〔7〕チガヤ群落 〔8〕ススキ群落 II 人工植生・耕作地植生 〔9〕採草地 〔10〕竹林 I マダケ林 II モウソウチク林 〔11〕ニセアカシア植林 〔12〕スギ・ヒノキ植林 〔13〕マツ植林 〔14〕水田 〔15〕畑地 〔16〕果樹園 〔17〕桑園 〔18〕採石場 〔19〕ゴルフ場 〔20〕住宅地
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