阿波学会研究紀要


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郷土研究発表会紀要第37号
松茂町の民家

建築班

 四宮照義1)・林茂樹2)・森兼三郎3)

 河野弘典4)・木下龍一5)

はじめに
 松茂町は徳島県の北部、旧吉野川と今切川に挾まれた河口に開かれたデルタ地帯にある。松茂町は水の町川は流れて堀をなし、ナシとレンコン畑の広がる水郷の町である。九州福岡県柳川水郷の風景を想い浮かべる処である。
 建築班は7月27日から8月1日まで民家を調査し、その後9月20日から5日間を費して補足調査を行った。

目次
1.田口祥太郎家(床差し天井のある家) 笹木野字山南110
2.佐藤和之家(煙返しのある家) 広島字古屋敷2
3.松尾重義家(大きな茅葺屋根の家) 笹木野字八上17
4.篠賀敬治家(造り酒屋の家) 笹木野字八上60
5.三木與吉郎家(藍豪商の家) 中喜来字中須20
6.花田庄一家(江戸時代の屋敷構えの家) 広島字中バリ5
7.某家(堀に張り出して造った家) 中喜来中組
8.某家(四間取りの一般農家) 中喜来字中須46
9.その他の民家
 イ.長原漁村の家
 ロ.二間取りの家
 ハ.四方下の家
 二.新しい家(松茂ニュータウン)
10.家相における風門とは
11.間取りについての考察IV
12.おわりに
 その他……松茂町民の意識調査(建築合同班)

1.田口祥太郎家(床差し天井のある家)
 棟札…絵図面、家相秘伝書…棟札、2枚あり、1枚は煤けて読めず。享保か元文年間(1716〜1740)と推定される。もう1枚は寛政11年(1799)。
 この家に残されている過去帳には貞享元年(1684)12月6日に徳島市富田から此の地に移住したとある。また安政2年(1855)の絵図面と、明治27年(1894)2月の家相秘伝書がある。
 間取り……正面に向かって左からチョウバ、ナカノマ、オモテがあり裏側には、ナイショ、オク、ケショウノマの6間取りで、イタノマ、コザ、カマヤがある。(平面図参照)
 床差し天井……オモテの部屋の天井は床の間に向かって、天井の竿縁が直角に差し通して張ってあるのを「床差し天井」と言う。士族の家には、床差し天井が時折り見られるもので、切腹の間とか、入らずの間とかいわれている。
 釘隠し……格式ある民家の座敷には、鴨居の上に長押を廻す。そして、柱と長押の交点に釘隠しを打つ。釘隠しの紋様は、普通その家の家紋が多いが、家運繁栄を願って鶴、亀、松、カブ等がある。田口家にはオモテの部屋には蝶、ナカノマの部屋には三階松の釘隠しがある。なおこの家の裏庭には、元禄8年(1695)10月8日初代田口吉右衛門の墓がある。

 

2.佐藤和之家(煙返しのある家)
 棟札……5枚あり、その内1枚は煤けて古く、年代が読み取れない。文化12年(1815)主家。安政2年7月(1855)納屋。天保2年(1831)蔵。明治24年(1891)12月離れ座敷。
 現状……旧建物を残して、右側に平成元年1月に新築しているので、旧建物は近く取壊すとのこと。
 間取り……南側には向かって右からヒロシキ(カラウスバの土間)、ウチニワ、チョウバ4帖(アガリハナともいう)。オモテ6帖(トコ、違棚)、北側にはカマヤ、コザ(一段下がって板張り)、ナイショ6帖オク6帖(共に大和天井)。
 煙返し……ウチニワからカマヤに入った所に、大和天井から垂れ壁が下がり、やっと頭を下げて通る様になっている。これはカマヤで焚く煙が表の部屋へ廻らない様に工夫されたものであり、古い民家には時折り見られるものである。特にこの家にはコザとナイショとの境の上にも、この煙返しが付いているのは珍らしい。

3.松尾重義家(大きな茅葺屋根の家)
 茅葺屋根……松茂町は茅葺屋根がかなり見られ、これらは殆どトタンで覆われているが、桁行7間の大きな茅葺きのままの家は松尾家だけである。
 20年位前に、石井町の茅葺き職人の大木元氏に葺替をしてもらったもので、寄棟の屋根の勾配、反りが均整がとれ1尺8寸の厚さの河葦で葺かれている。
 系図・過去帳……初代の傅左衛門は延宝年間(1673〜80)に、この地に御蔵入百姓として笹木野村新田に住した。元禄16年(1703)に死去、その後代々続いて11代目の今日に至る。
 棟札……棟札4枚あり。3枚は煤けて解読困難である。天保11年(1840)の棟札は現在の家のものである。(写真参照)

4.篠賀敬治家(造り酒屋の家)
 「伊達娘」の商標の造り酒屋の篠賀家は配置図に見られる様に、主家以外に仕込蔵、酒蔵、納屋、奉公人部屋等多くの建物を配している。ところが附近の開発が進むにつれて、酒造りの命である水質が悪くなって、昭和54年頃には廃業した。この家には酒造の資料、道具等多く保管されているので、願わくば造り酒屋の資料館として残したい。主家のオモテの部屋の天井には銘木として有名な屋久杉のウズラ杢の天井板を張っている。

5.三木與吉郎家(藍豪商の家)
 三木家は松茂町喜来近辺を開拓した旧家で、特に江戸から明治にかけて全国に販路を開いた松茂町最大の藍豪商である。屋敷構えも豪壮で、特に裏側には水路を取込み、ガンギを設けて藍の積出しを盛んに行った。
※注1)ガンギ 河または海沿いの岸の形式の1つ。石造で階段状のもの。江戸時代の荷揚げ場の最も普通の形式。

6.花田庄一家(江戸時代の屋敷構えの家)
 松茂町民家の昔ながらの屋敷構えを残したこの家は、門長屋、主家、蔵、納屋、離れ等の建物を石垣塀や生垣で広大な敷地を取り囲んでいる。特に北側には堀に沿って防風林として樹木や竹籔を廻している。

7.某家(堀に張り出して造った家)
 松茂町は川の町、堀の町である。至る処に水路が巡らされている。この家は写真の様に堀に張り出した御影石を土台にして柱を建てて造っている。

8.某家(4間取りの一般農家)
 松茂町の一般農家の間取りは、正面側にはアガリハナ、オモテがあり、奥側にナイショ、オクの四部屋があるのが普通で、これを4間取りの家という。これらの家には向かって、右にウチニワとカマヤの土間があるのを右勝手の家といい、左にウチニワの土間があるのが左勝手の家という。
1.松茂の一般的農家(四間取)   2.家人の話では100年以上とのこと(推定弘化年間)  3.茅葺、大和天井  4.大黒柱、桧4寸角  5.戸の口の軒に「鐘馗」の魔除けを付けている。

9.その他の民家
 イ.長原漁村の家
 長原漁港附近は特に南東の風(まぜという)が強いので、茅葺きの家には防風の為石垣や、樹木で屋敷を囲み、屋根は古い漁網で覆う。それでも風に耐えがたいので、本瓦葺の屋根にして、漆喰で固める様になった。

 ロ.2間取りの家
 中喜来字北加屋(かうや)の美喜家は、83歳になる志満栄さんと、妹の金子ツネコさんが一緒に居住しており100年以上前に建てたという。表側にはウチニワと、オモテがあり、裏側にはカマヤとナイショがある。この様な家を2間取りの家という。
 ハ.四方下の家
 松茂町の民家には茅葺屋根の四方に本瓦葺の下屋を廻している家が多く見られる。下屋のことを「ゲ」と呼び、この様な家を四方下の家という。

 ニ.新しい家(松茂ニュータウン)
 松茂町は新加賀須野橋ができて、徳島−鳴門両市中間点に位置して、工業団地が開かれ近代都市に衣替えの気運が旺盛である。人口の流入が激しくて、松茂ニュータウンが生まれた。

10.家相における風門とは
 ここに家相を取りあげたのは笹木野の田口氏からお手紙を頂いて「私の家には古い絵図面があり、その中に(風門)ということがかいてあるが何のことか?」との質問であった。早速、図書館へ行って家相の本を調べた結果、図10−1の通り、巽(タツミ)の方向をいう。風門は南東の方向を言い夏はこの方向から風が入り、北(子)、北西(乾)に吹き通る様に通風換気の住衛生を考えた昔の家相見の識見である。

11.間取りについての考察
 前回に引き続き、茅葺屋根の全民家を対象に調査した。前回の土成町では扇状地、街道筋共に圧倒的に左勝手が多く全体の88%を占めていた。前々回の板野町は讃岐街道沿いに右勝手が集中し、約80%を占めるのに対し吉野川沿いの平野部では約30%程度で、全体では58%と反対に右勝手が多くなる。今回は調査件数も48戸と前者と比べて少ないが、殆どが右勝手となっている。これらにより板野郡3町の調査により板野町を境に、県西部は左勝手が多く、県南部は右勝手が主流を占めることがわかる。勝手により、生活様式や祭事形式も異なっている。町誌には「入口は巽(南東)、乾(北西)が良いといわれ、この為宅地の向きによって、道路から門まで道を造り、入口の方角を変えている。」とあり、松茂町に右勝手が多いのが家相上からも理解できる。

12.おわりに
 民家は人々の生活を過去から現在までを映しだしてきた鏡である。そこには気候、風土、産物、風習、生活様式などの反映が見られる。今回の調査に当たって、ご協力いただいた町当局並びに住民の皆様方には深く感謝致します。(文責 四宮)

松茂町住民の住意識調査
 建築合同班では松茂町の調査をするにあたり、徳島市に隣接し、空港を抱え住宅・工業団地の開発で生活環境の変化が著しい本町の住民の住意識調査を行ったので報告します。
 なお、当調査の実施にあたり松茂町教育委員会及び町民の皆様に多大なご協力をいただきましたことを深く感謝致します。
□調査方法
 予算が無いので郵送の方法が取れず、町内3小学校の5・6年生に限定しアンケート票を各学校で配布し、家族に記入してもらったものを学校で回収する方法を取った。
 アンケート票配布は下記の通り。

□調査結果
 全県的なデータとの比較は平成元年度版「統計OURとくしま」及び昭和63年12月実施の住宅需要実態調査結果を参照しました。
1)現在のお住まいの地域は?
1 長岸 2 中喜来 3 向喜来 4 福有 5 広島 6 笹木野 7 豊中 8 長原 9 豊岡 10 満穂 11 住吉
 広島28.4%、笹木野23.6%の2地域で過半数を占め、中喜来、長原が12.2%でこれに続く。

2)あなたの性別、年齢は?
1 生別(男・女) 2 年齢( 歳)
 女性が72.1%で年齢は30〜44歳で90%を越える。サンプルが小学校の父兄であることから母親の回答がほとんどと考えられる。

3)ご家族について?
1 同居家族は(  名) 2 0歳から高校生までのお子様は(  名)
3 何世帯でお住みですか(1世帯・2世帯・3世帯)
1 同居家族の平均4.7人
2 0歳から高校生までの子供の平均2.1人
 同居家族は4人が37.5%で一番多く、5人、6人、3人と続く。
 平均は4.7人となっており県平均3.5人を大きく上回っている。子供の数(高校生以下)は平均2.1人である。何世帯が同居しているかを見ると、1世帯が64.0%で2世帯が24.6%と核家族化が進む都会的な傾向も見られる。

    

4)世帯主のご職業は?
1 農林業 2 漁業 3 鉱業 4 建設業
5 製造業 6 小売業・卸売業 7 金融業・保険業
8 不動産業 9 運輪・通信業 10 電気・ガス・水道業
11 サービス業 12 公務員 13 その他(   )
 製造業が 1/5 を占め、工業団地を控えているのがよくうかがわれる。第2位に公務員が16.7%(県平均3.6%)で異常に多いのが特徴的てある。

5)ご主人はお勤めですか?自営ですか?
1 お勤め 2 自営
73.2%が勤務している。

6)現在のお住まいは?
1 一戸建住宅(持家・借家) 2 長屋建住宅(持家・借家) 3 マンション(分譲・賃貸) 4 公団・公営住宅
5 社宅・官舎 6 その他(   )
 8割が一戸建住宅に住んでおり(県平均72.9%)、マンション等共同住宅は徳島市の中心市街地より離れているためか少ない。

  

7)現在のお住まいの部屋数は?
 1 和室( 室) 2 洋室( 室)
 平均5.5室で県平均と同数である。全国平均が4.6室に比して徳島県は約1室多く、6室以上が半数を占めるなど大規模な住宅が多いことが伺われる。和室と洋室の割合も和室が多くなっている。

  

8)現在のお住まいの不満なところは?
1 狭い 2 暗い 3 古くなった 4 間取りが悪い
5 部屋数が足りない 6 収納が少ない 7 日照が悪い 8 通風が悪い
9 庭が狭い 10 物干場がない 11 ガレージスペースがない 12 家賃が高い
13 公共施設に遠い 14 買物に不便 15 特になし 16 その他
 3/4 の人が何らかの形で現在の住まいに不満を持っている。部屋数の不足、狭さ、収納不足、間取りが悪い等の不満は、生活の多様化や現在の物質文明によるもので電化製品などが部屋に溢れ、人間の居場所がなくなっているものと考えられる。

  

9)家を建てるとしたらどなたに依頼されますか?
1 設計事霧所 2 工務店、建設会社 3 大工さん
4 プレハブメーカー 5 不動産業者 6 その他(   )
 約6割の方が工務店・建設会社であり、大工さんの17.6%を大きく引き離しているのは今までの住まい(民家)への不満(暗い、間取りが現代の生活に合わない)のためかもしれない。

10)家を建てるとしたらどの様な構造を選びますか?
1 木造(在来・ツーバイフォー・ログハウス) 2 鉄骨造 3 鉄筋コンクリート造
4 プレハブメーカーの工法に任せる 5 その他(   )
 約7割の人が木造を選んでおり、木造住宅への指向が強いことがうかがわれる。

11)どのような外観の家が好みですか?
1 和風住宅 2 洋風住宅 3 その他(   )
 和風が多いが、洋風も43.4%と和風に迫っている。回答者の年齢層によるものと思われるが、町内には新興住宅が多く、平成2年3月には県内外の住宅メーカー13社による四国で2番目の大規模展示場「松茂住宅公園」がオープンした。緑地公園を囲み13棟の高級モデルハウスを展示、県内業者2棟を除き全て疑似洋風建築が建ち並び中にはプールやサウナ、トレーニングルーム、オーディオルームまで備えた家もある。

12)現在の住まいに、仏壇、神棚、お荒神さんは祀られていますか?
1 仏壇(ある・ない) 2 神棚(ある・ない) 3 お荒神さん(ある・ない)
 仏壇、神棚、お荒神さん3者共にほぼ同じ回答結果が得られた。「祀っていない」が「祀っている」を少しだけ上回る。

13)あなたは家相を信じますか?
1 信じる 2 少し信じる 3 信じない
 家相についての問いだが、信じる、信じないが、やや同数の25〜6%。少し信じるが第1位の45.5%で、信じると合わせると過半以上の71.5%となり、信じるが断然と多くなる。しかし現実にはどうであろうか? 問11・12の結果により、和風から洋風へとし好は移り、神仏からの離脱が進行しているように思われる。

14)現在のお住まいには防音対策をしていますか?
1 している 2 していない
 表2の地域別で見ると「対策をしている」第1位が「広島」68.0%、次いで「満穂」62.5%、「向喜来」40.0%、「住吉」35.7%、「笹木野」17.2%の順であるが、地域によってはサンプルが少なく正確な分析はむずかしいところである。

 

15)現在のお住まいの防音性能はいかがですか?
1 満足 2 ほぼ満足 3 不満 4 気にしていない
 「気にしていない」が34.7%で第1位で「満足」「ほぼ満足」と合わせると55.9%と過半数を占める。

16)家を建てるときに大事にしたいと思っていることは? 2つまで選んで下さい。
1 見栄えのよい外観や高価な材料などを使った豪華な造り
2 好きな材料や色彩など好みのインテリア空間
3 システムキッチン・食器洗浄器・お尻洗浄器・エアコン・気泡バスなど設備の充実
4 子供部屋・書斎・家事室など必要な部屋数の確保
5 使い便利のよい間取りなど機能的なこと
6 家族とのふれあいの取りやすい間取りなど心のつながり
7 その他(   )
 表1で見ると第1位は5 機能性、次いで4 部屋数の確保、以下6 心のつながり、3 設備の充実、2 インテリア空間、1 見栄えのよい外観・豪華な造りの順である。
 表2では男女別で272人中何人が選んだかの比率であるが男女合わせた第1位は5 機能性(72.8%)でほぼ4人に3人が選んでいる。機能性は現代の家づくりの核であることがよくうかがわれる。性別で見ると、男性66.2%、女性78.0%で機能性に対する関心は女性に強く表われている。第2位4 部屋数の確保は40.8%である。これは「質問8)現在のお住まいで不満なところは?」で第1位の「部屋数が足りない」からも分かるように、子供室の個室化や書斎・家事室などサブ室の充実化などに起因しているものと考えられる。量不足の問題だけでなく質をもからめた問題であろう。性別ではほぼ似かよった数値となっており大きな差は見られない。第3位の6 心のつながりと答えた人は38.2%である。これは「心の時代」と言われている現代の特徴を表わした大きな数値になっている。戦後、モノ・カネに幸福を求めてがむしゃらに働いてきた日本人が、本当の豊かさとは何か?を真剣に考えだした数値とも受け取ることができる。第1位5 機能性や第4位3 設備の充実とは、ある意味で相反するものであるかもしれない。また性別においても特徴があり、男性46.5%、女性36.1%と5 機能性とは逆で男性に関心度が強く表われている。第4位の3 設備の充実は16.9%であり、性別における差は見られない。第5位の2 インテリア空間は15.4%で、女性に関心が強く16.2%、男性は11.3%となっている。最後の1 見栄えのよい外観・豪華な造りは、極端に少なくて2.6%となっている。

17)現在、導入されている設備は?
1 システムキッチン 2 食器洗浄器 3 ウォッシュレット(お尻洗浄器)
4 エアコン(  台) 5 気泡バス 6 セキュリティ機器(防犯設備機器)
7 セントラルクリーナー 8 床暖房設備 9 その他(   )
 表2は世帯当たりの導入率である。第1位はエアコンで80.9%、以下システムキッチン、ウォッシュレットと続く。

18)今後、導入したい設備は?
1 システムキッチン 2 食器洗浄器 3 ウォッシュレット(お尻洗浄器) 4 エアコン(  台) 5 気泡バス 6 セキュリティ機器(防犯設備機器) 7 セントラルクリーナー 8 床暖房設備 9 その他(   )
 表1で第1位は1 システムキッチン27.0%、次いで3 ウォッシュレット19.3%以下4 エアコン15.9%8 床暖房9.9%2 食器洗浄器8.8%の順である。また表2の導入している人を除いて、導入したいと思っている人の比率で見ると、第1位はやはり1 システムキッチンで48.5%、次いで3 ウォッシュレットで34.5%以下4 エアコン27.8%8 床暖房18.0%2 食器洗浄器16.0%の順となる。
 性別で見ると、男性の第1位は3 ウォッシュレット44.2%、次いで1 システムキッチン38.5%、以下4 エアコン32.7%2 食器洗浄器21.2%の順。女性の第1位は1 システムキッチンで52.1%である。以下3 ウォッシュレット31.0%4 エアコン26.1%8 床暖房18.3%の順である。男性は「ウォッシュレット」女性「システムキッチン」がそれぞれ第1位を占めており特徴的である。
 これからの住まいは、より快適なくらしを求めて、「便利で機能的なもの」としての設備機器の導入が、より増加するものと思われる。日進月歩で発展する設備機器を求めて、住まいの価値観や生活観、人生観も大きく変化するであろう。価値観を変える設備機器の導入には、思慮深い考えで対処していく必要があろう。
 今回取り上げなかったが、太陽熱温水器やコードレス電話機などの項目も今後のアンケートに追加していきたいと考えている。

19)家を思い浮かべる時、原(心象)風景のようなものがありますか? あればお教え下さい。………例:いろりのある光景、高い天井、薄暗い床の間、など。
1 原風景(    )
 幼ない頃から持っている家のイメージ(心象風景)をお聞きしたのですが、ご回答いただいた方83人のうち、ほぼ6割の方が、現在欲しい家のイメージを書かれていた。残りの4割の方のご回答は、まちまちであるが庭(広い庭、大きな木、日本庭園、坪庭など)に関してのものが8件あり最も多かった。それ以外では、掘りごたつ、いろり、土間、おくど、茅葺屋根、木の香り、障子、青畳など、「日本的なもの」を上げられていたのが目についた。

20)松茂町や徳島県下で好きな建物がありますか? あればお教え下さい。
1 松茂町(   ) 2 徳島県(   )
 13人の方からご回答をいただいた。1 の第1位は「住宅総合展示場」で4人、以下「総合会館」と「体育館」3人、「空港」「福祉センター」「郵便局」1人となっている。
 2 のご回答はまちまちであるが、唯一「県庁舎」が2人で、以下「旧県庁舎」「郷土文化会館」「文化の森図書館」「徳島新聞放送会館」「鳴門武道館」「南阿波ピクニック公園のログハウス」「祖谷の昔風建物」はそれぞれ1人が上げている。

 以上が平成2年9月に松茂町教育委員会を通じて松茂町の小学校3校の5,6年生のご父兄からご回答をいただいたアンケート結果である。そのため年齢層が30〜44歳に集中しており年齢層による分析は出来なかったが逆に戦後生まれ(昭和20〜35年)の住意識傾向と見ることが出来る。回答サンブル数は272におよび、松茂町人口の2.32%(世帯比8.21%)にあたっている。ここに改めてご回答いただいたご父兄の皆様に心よりお礼申し上げます。阿波学会建築合同班(建築班、郷土建築班)一同

1)徳島建築文化財研究所主宰 2)林建築事務所室長 3)A+U設計室主宰 4)県庁住宅課技師 5)アトリエRYO主宰


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