阿波学会研究紀要


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郷土研究発表会紀要第37号
松茂町における読書状況と図書館

読書調査班(徳島県立図書館)

  福本博・岸本真弓・飯原加代

  大崎恵・長尾由美子(集計)
  小浜俊和(文責)

1 読書の目的と方法
 今回の調査の目的は、読書と図書館に関する松茂町民の意識と実態を調査することによって、今後の図書館活動推進の参考にするためである。
 調査方法は、従来どおり、町内の全小中学生の父兄にアンケートを実施した。また、この結果に対する松茂町教育委員会のご意見をお聞きした。
 以下、アンケート調査結果、松茂町立図書館、学校図書室、総括の順に報告する。

2 読書と図書館に関するアンケート調査結果

 アンケートの回答者の大部分は、小中学生の父兄である、30代、40代の年齢の男女であり、女性が多い。この年齢の町民は、これからの町の発展を担う重要な人達であり、この意識調査を実施することは、これからの図書館のあり方を考える上で、大変有意義である。
 以下、各問に対する回答の集計を表と図に示し、具体的に記述された回答は、「記述回答」として掲げ、調査結果に対する読書調査班の分析を「分析」として掲げる。「記述回答」について、同じ意見があるものについては、その意見の後に件数として示した。「分析」については、特に注目すべき点についてのみ記述し、全体的な分析は、次の章以下に

[情報源]
問1 あなたは、知りたい情報や知識を何から得ていますか。(主なもの2つに○を)
 1.新聞
 2.雑誌
 3.本
 4.テレビ
 5.ラジオ
 6.その他(  )
◎記述回答:回答なし。
◎分析:新聞が約80%、テレビが約70%と高率であり、本は、約20%である。男女差は、ほとんど見られない。知りたい情報は、やはり、速報性のある新聞、テレビから得るというのが一般的である。しかし、専門的知識、体系的知識を得るとなると、本から得ることになると思われる。

[読書率]
問2 あなたは、平均1か月間に何冊本を読みますか。(雑誌は除く)
 1.1冊
 2.2冊
 3.3冊
 4.4冊
 5.5冊
 6.読んでいない
◎分析:月に1冊以上本を読む人は、約70%であり、かなりの高率である。また、5冊以上読む人が約10%いるというところを見ると、調査対象者の読書熱は、相当、高いと言えるだろう。

[読書の目的]
問3 あなたは、どんな目的で本を読みますか。(主なもの2つに○を)
 1.仕事のため
 2.趣味や娯楽のため
 3.教養を高めるため
 4.子どもの教育のため
 5.家庭生活に役立てるため
 6.その他(  )
◎記述回答:・ストレス解消。 ・自分を確かめるため。 ・暇つぶしのため。 ・知識を深めるため。 ・自分のこれからの人生を確かめるため。 ・子育てのため。
◎分析:「趣味娯楽」が、約60%と一番高いが、男性は、「仕事のため」が40%、女性は、「家庭生活」が約30%と続いている。「教養」が約20%あまりとなっている。男性の約4割は、仕事のために、必要に迫られて、本を読んでいる。最近の読書傾向は多岐にわたっており、「趣味・娯楽」「教養」を目的として本を読んでいる人が多い。

[読書の分野]
問4 あなたは、これからどんな種類の本を読みたいですか。(3つまで○を)
 1.宗教・哲学
 2.歴史・地理
 3.政治・経済・財テク
 4.暮らし・健康
 5.教育
 6.科学・技術
 7.産業
 8.文学・小説
 9.芸術
 10.その他(  )
◎記述回答:・スポーツ ・漫画 ・仕事の本 ・軍事 ・趣味、娯楽 ・料理 2件 ・手芸 ・健康 ・専門書
◎分析:男性は、政治・経済、科学・技術、産業の分野への関心が高く、女性は、暮らし・健康、教育、文学・小説の分野への関心が高い。つまり、男性は、問3にもあったように仕事に関連する分野の本を読み、女性は、家庭生活に関連する読書が多い。特に、芸術に関心があるのは、男性が約4%なのに対し、女性は、13%と、かなりの高率を示しており、注目される。

[本の入手方法]
問5 あなたは、読みたい本をどこで手に入れますか。(2つまで○を)
 1.書店
 2.県立図書館
 3.町立図書館
 4.移動図書館
 5.職場
 6.家族・友人
 7.家庭文庫
 8.その他(  )
◎記述回答:・エアメール
◎分析:書店で入手するというのが、約90%と大多数である。県立図書館の利用が約2%、松茂町立図書館の利用が約21%、移動図書館の利用が約2%である。図書館の利用率は、男性より女性が、約2倍程度、多くなっている。

[町立図書館への要望]
問6 (問5で、3に印を付けた人に)あなたは、町立図書館に何を望みますか。
◎記述回答:以下のとおり。
◇図書に関するサービス
 ・本の種類を増やして欲しい。26件 ・雑誌の種類を増やしてほしい。 ・各分野の本を置いてほしい。4件 ・本の数(蔵書)を増やして欲しい。51件 ・新刊の購入をもっと多く。17件 ・新刊を早く置いてほしい。5件 ・希望の本が、なかなか入らないので、早く入れてほしい。 ・読みたい本が、ほとんどないので、利用者の希望を把握した上で、購入してほしい。3件 ・すぐに住民のリクエストに応じるよう、本を揃えること。 ・ベストセラーの本を多く置いてほしい。2件 ・話題になった本をもっと購入してほしい。4件 ・よい本を取り入れてほしい。2件 ・中高校生が読むような世界文学全集を揃えてほしい。 ・趣味の本。3件 ・手芸、編み物、パッチワークの本。4件 ・小説を多く。 ・専門書がほとんどないので、蔵書の充実を図ってほしい。4件 ・子どもの読める本を増やしてほしい。5件 ・健康に関する本を揃えてほしい。2件 ・暮らしに関する本を増やしてほしい。 ・技術系図書を増やしてほしい。 ・外国文学を増やしてほしい。 ・家の建築に関する本を多く置いてほしい。 ・写真の多い本を、もっと置いてほしい。 ・新聞の縮刷版を置いてほしい。 ・ソーイングの本で、中に型紙が入っているが、自由に使用したい。
◇貸出期間
 ・貸出期間を1か月以内にしてほしい。 ・貸出期間が1週間なので期間を長くしてほしい。5件 ・10日間にしてほしい。 ・2週間にしてほしい。6件
◇図書の整理
 ・本の種類の配置を分かりやすくしてほしい。・カードで調べられるように分類してほしい。(書名別、著者名別に) ・アイウエオ順に、きちんと置いてほしい。 ・もっと閲覧しやすくするために、作者別に分けておいてほしい。2件 ・本の種類別の整理が悪い。
◇図書以外のサービス
 ・CD、テープ、ビデオの貸し出しをしてほしい。 ・子ども向きのビデオを置いてほしい。 ・ビデオを付けてほしい。 ・コピーサービスを実施してほしい。2件 ・色々なイベント(催し物)を企画してほしい。 ・町内のこまごました情報、歴史、出版物等の充実。
◇開館時間
 ・利用時間帯の拡大。6件 ・週2回でも、閉館時間を7時にしてほしい。 ・閉館時間を7時にしてほしい。2件 ・夜8時まで使わせてほしい。2件 ・夜間も開館してほしい。2件 ・夜9時まで開けてほしい。 ・日曜、祭日に利用できるようにしてほしい。 ・日曜に利用できるようにしてほしい。
◇PR
 ・新刊案内等を、チラシ等で知らせてほしい。 ・電話(フリーダイヤル)で、新しく入った本等の紹介があるとよい。 ・新聞広告などで、本のPRにもっと力を入れてほしい。 ・要望を聞いてほしい。
◇館の状況等
 ・明るく親しみやすく、気軽に出入りできる環境。2件 ・いつも清潔にしてほしい。2件 ・乳児をあばれないようにしてほしい。 ・子ども達を、静かにさせてほしい。 ・本が傷んでいることがあり、気をつけてほしい。 ・古くて汚い本が多い。3件 ・机と椅子を増やしてほしい。 ・利用しやすくしてほしい。 ・規模を大きくしてほしい。 ・設備の充実とそれを運営する人材。 ・図書室より、図書館の設置。2件 ・コミュニティセンターになれるような環境づくり(設備、催し物)、藍住町立図書館のような開放的雰囲気、予算の充実、図書館長の人選が必要だと思う。まず、広い独立した徳島県一を誇るような充実した施設とそれを運営する優れた人材が必要だと思う。 ・返却日が守られていない本(人)への督促を早めにしてほしい。借りたい本が貸出中なら、あきらめもつくが、返却日が守られてないと思うと、借りる気がしなくなる。 ・地域に根をおろし、色々な方が利用していると思う。
◎分析:松茂町立図書館への要望は、上記のとおり、図書館活動すべての分野にわたっている。このように数多くの要望があるということは、それだけ町立図書館に対する期待が大きいということであると思われる。図書に関するサービスについては、蔵書数の増加による魅力ある図書の整備を望んでいる。貸出期間については、期間の延長を望んでいる。図書の整理については、どこに何があるか、すぐに分かるように、閲覧しやすくする工夫を求めている。図書以外のサービスについては、視聴覚資料の備え付け、複写サービス、各種情報提供を実施するように望んでいる。開館時間についても延長を望み、PRも積極的に実施することを求めている。館の状況については、ゆったりした気持ちで読書できる環境を望んでいる。以上のことから、図書館は、今後より一層、図書の充実、館内の環境整備、各種サービスの充実に努めて、地域の情報発進基地の役割を担うことが大切になってきていると思われる。予算や勤務体制の制約があるが、できるだけ利用者の意見を取り入れて、また、図書館側から様々なサービスを提供・提案していくような、図書館の運営がなされるよう期待される。

[移動図書館への要望]
 問6(問5で、4に印を付けた人に)あなたは、移動図書館に何を望みますか。
◎記述回答:以下のとおり。
◇図書
 ・種類をもっと増やしてほしい。(色々な分野の本)10件 ・もっと多量の本を積み込める車を用意してほしい。2件 ・新刊をたくさん置いてほしい。 ・ベストセラーの本を入れてほしい。 ・小説がほとんどを占め、小説・文学以外の本が足りない。 ・もう少し整理がきちんとできていればよい。 ・CD・テープ・ビデオの貸し出しをしてほしい。
◇移動回数・場所
 ・移動回数を多くしてほしい。 ・月1回を2回に増やしてほしい。2件 ・休日にも来てほしい。 ・夏休み中は、子ども用の図書を少し多くして、週1回にしてほしい。 ・冊数を多くするよりも、移動回数を増やした方がよい。 ・週1回ぐらいは、近くの場所まで来てほしい。 ・もう少し、地域を、こまかく移動してもらいたい。2件 ・移動の計画をもっと緻密に、また、分かりやすくしてほしい。 ・職場へも何人か希望すれば、昼休み等に来てほしい。
◇PR等
 ・巡回日、時間の告知を、今以上に、多くの配布物に示してほしい。2件 ・宣伝が足りない。3件 ・存在を知らない。2件 ・時間、曜日を知らない。 ・利用したことがない。 ・とても良いと思う。
◎分析:移動図書館を実施することは、町内の全域サービスを図る上で、大変、有効である。本来なら、地区ごとに分館を持つのが理想であるが、県内で分館を持っている市町村立図書館はない。次善の策として、移動図書館を実施しているのである。利用者は、図書の充実、移動回数の増加、移動箇所の増設、PRの充実等を望んでいる。より充実したサービスを展開していくことが望まれる。特に、移動図書館の存在すら知らない人がいるので、PR・広報は、積極的に実施する必要があると思われる。

[町立図書館の利用率]
 問7 あなたは、町立図書館や移動図書館を利用したことがありますか。
 1.ある(■問8へ)
 2.ない(■問9へ)
◎分析:図書館を利用したことがある男性は、約30%であり、女性は約50%である。女性の利用率が、男性を、20%近く上回っている。

[町立図書館の利用内容]
問8(問7で「ある」と答えた人に)どのような利用をされましたか。(該当するものすべてに○を)
 1.本の貸出し・閲覧
 2.調査・研究に関する相談や問い合わせ
 3.読書会に参加
 4.行事や催しに参加
 5.その他(  )
◎記述回答:・講演会
◎分析:市町村立図書館の基本的サービスである貸出・閲覧の利用が、ほとんどである。図書館で、調査・研究の相談等ができることは、町民にあまり知られていないのではないかと思われる。

[町立図書館を利用しない理由]
問9(問7で「ない」と答えた人に)どのような理由からですか。(2つまで○を)
 1.利用したい本がない(少ない)
 2.開館時間中に利用できない
 3.設備や快適さに欠ける
 4.本は買って読みたい
 5.その他(   )
◎記述回答:・図書館がない。 ・何処にあるのか知らない。場所が分からない。6件 ・図書館の情報を知らなかった。 ・仕事から帰ってくると閉館になっているので利用できない。
 ・ゆっくり見にいく時間がない。7件 ・仕事が忙しいから。5件 ・自宅と離れている。2件 ・家から足の便がない。 ・本がきらい。本を読まないから。3件 ・貸出期間があまりないので、書店で買ってしまう。 ・利用手続きが面倒だから。 ・図書館に行く暇がないので、買って読む。 ・必要な本は、自分のものとして、持っていたい。 ・子どもが小さいために利用ができない。
◎分析:男性の約40%、女性の約30%は、開館時間中に利用できないと回答している。松茂町立図書館は、午前10時から午後6時まで開館しており、土・日曜日も開館している。それなのに、開館時間中に利用できないということは、仕事や家事等で多忙な人が多いと言える。また、本は買って読みたいと回答した人が約20%いるのは、読んだ本は手元に置いておき、読み返したいという心情から出てきているのだろう。

[町立図書館への(選択肢による)要望]
 間10 町立図書館や移動図書館を利用しやすくするためには、どうすればよいと思いますか。(3つまで○を)
 1.利用者の要望に見合った本を置く
 2.休館日や利用時間を工夫する
 3.利用手続きを簡単にする
 4.職員を増員する
 5.設備や快適さに配慮する
 6.施設を拡充する
 7.特にない
 8.その他(  )
◎記述回答:・蔵書を増やすこと。2件 ・種類を多く。2件 ・何といっても冊数が少ない。スペース的な問題もあるだろうが、もう少し充実させてほしい。 ・利用期間が利用者によって決められるとよい。 ・利用期限をもう少し延ばしてほしい。 ・貸し出し期間を長く、冊数も増やしてほしい。 ・今、話題になった本を早く置いてほしい。 ・最近のベストセラーや推薦の本の題名を掲示する。 ・駐車場を広くしてほしい。 ・いつ、どこに来るのか分からない。 ・利用時間や本の内容、新書などを、もっと町民に知らせてほしい。 ・もっとPRしてほしい。内容を広告し、よく周知させる。4件 ・強いアピールが必要と思う。 ・貸し出しできない本だと言われ、利用できなかった。 ・利用手続きを簡単にする。 ・子どものあそび場のようになっている。 ・町立図書館の子どもの図書のコーナーは、独立させてほしい。一般に、子どものマナーは悪いので、別室にしてほしい。 ・松茂町の図書館は、大きな声で平気で話したりして、うるさい。 ・貸し出しが大変で、生活の中に気軽に利用できない。 ・土、日曜日に関係なく、やってもらいたい。 ・移動図書館が、もっと近くまで来てほしい。
◎分析:次の章の「町立図書館」で記述する。

[子どもの読書の実態]
 問11 (1)あなたのお子さんは、週に平均何冊本を読んでいますか。(雑誌、漫画は除く)
・小学・中学  年生
・約  冊
◎分析:学年が上がるにつれて、1週間当たりの平均読書冊数が少なくなる傾向が見られる。クラブ活動や勉学のためと思われるが、読書環境とも関わっているのではないかと考えられる。親の読書冊数に対する小中学生の読書冊数については、父親より母親が相関関係が強い。つまり、母親の読書量が多い家庭は、子どもの読書量も多いという結果が出た。家庭、学校、地域の読書環境が、児童に与える影響は大変大きいと言えるだろう。

[子どもの読書への期待]
(2)あなたは、お子さんの読書に何を期待しますか。(2つまで○を)
 1.子ども自身が楽しんで読めること
 2.創造力を養い、心を豊かにすること
 3.知識が増し、視野を広げること
 4.文字がよく読め、読解力を増すこと
 5.本をきっかけにして親子の交流をはかること
 6.子どもの読書にあまり関心がない
 7.その他(  )
◎記述回答:・文字、本に親しむ。 ・国語が苦手で気が進む時でなければ読まない。
◎分析:児童の読書離れが言われて久しいが、約60%の人が、読書は、想像力を養い、心を豊かにすると考えている。読書をするという行為が、人間の成長過程において果たす役割は図り知れないものがあると、調査対象者は考えているのだろう。

3 松茂町立図書館
 アンケートの問6の町立図書館への要望で、魅力のある図書の充実を求める声が多かった。分かり切ったことだか、図書館は、図書を中心に置いたサービスが展開される所である。どのように展開するかに、各図書館の独自性が見られるのである。
 松茂町立図書館は、1 「子ども達に親しまれる館づくり」、2 「今、話題になっている本をリアルタイムで提供」、3 「リクエストを迅速に対応」という3つの運営方針により運営されている。夏休み期間中には、アニメ上映会を開催したり、毎週水曜日には、紙芝居「ひよこ会」を実施したりしている。移動図書館は、毎月2回配本活動を実施しており一か月平均120冊の貸し出しがある。
 アンケートは、30〜40歳代が、大部分を占めており、仕事を持った方が多いために利用時間の少なさを指摘する声がかなりあった。平日の閉館時間の延長は、現時点では難しいが、土・日曜日、祝日は、すべてオープンしているので、そちらの利用を PR していく方針である。また、貸し出し期間については、できるだけ多くの方に読書を楽しんでいただきたいために設けているが、延長については、電話連絡をくだされば延長手続に応じているとのことである。
 本館は、公民館、コミュニティセンターを含む複合施設の中にあり、今後は、資料提供のみならず、積極的な生涯学習機会の提供を、公民館と協調しながら進めて行きたいと考えている。また、将来的には、町内の各地域あるいは各種施設に配本所を設置し、読書のネットワークを形成し、本館が、その中核として各種資料の提供を行うようなシステムを考えている。
 今後とも、町民の要望を取り入れながら、よりよい図書館を目指して、運営していく方針であることが、松茂町教育委員会の意見の中から読み取れた。

4 学校図書室
 松茂町内の小中学校図書室は、広さ約50〜90平方メートル、蔵書数約3〜8千冊、生徒数約100〜700名、貸出冊数約2〜7千冊である。利用状況は、あまり活発でなく、読書に興味のある生徒とない生徒との差が激しい現状である。図書室の利用は、一部の生徒に限られている。活字ばなれの問題に、学校として、どう取り組んでいくか課題は大きいと考えている。運営上の問題点は、予算が少なく、新刊図書を思うように購入できないこと、専門の教諭がいないので管理ができにくい面があること、図書室が狭く増加する図書の配置に困ることなどがある。学級文庫の設置、校内読書感想文の実施、読書大会(読書まつり)の開催、読書賞の表彰等を通じて、読書指導を進めている。

5 総括
 平成元年7月に、県内14番目の市町村立図書館として、松茂町立図書館が開館した。公民館図書室から図書館への移行であり、見た目の美しさを喜ばれる人が多かった。また「図書館」というものを初めて利用される方もいた。開館当初は、新規購入図書が蔵書数の5割弱だったので、図書に関する要望は、多方面からあった。平成2年度は、開館2年目であるが、それまでに6,000冊の図書を新規購入したためか、貸し出し冊数が元年度を平均2割、夏休み期間中は5割の伸びをみせた。広報などの PR で、図書館を利用することに慣れ始めているようである。これから、いかにして町内すみずみにまで、図書館サービスを広げていくかが課題である。
 松茂町立図書館の運営方針の中に「子ども達に親しまれる館づくり」を掲げているが、実際に、児童の利用が、全体の7割近くを占めており、学校図書室と連携を図りながら、児童の読書を進めるようにしている。
 これからの活力ある町づくりにおいて、生涯学習という視点を持たないわけにいかないと考えられる。図書館は、生涯学習を進める町づくりの中核施設として、大きな役割を果たすと思われる。今後の松茂町立図書館の活動を注目したい。
 最後に、今回の調査に当たり、松茂町町民の方々、松茂町教育委員会関係者及び学校関係者に、多大の協力を頂いた。深く謝意を表したい。


徳島県立図書館