阿波学会研究紀要


このページでは、阿波学会研究紀要論文をご覧いただけます。
 なお、電子化にともない、原文の表記の一部を変更しています。

郷土研究発表会紀要第39号
三好町の鳥類

鳥類班(日本野鳥の会・徳島県支部)

      増谷正幸(文責)

1.はじめに
 三好郡三好町は徳島県の北西部に位置する。北部を讃岐山脈(阿讃山地)が東西に走り、南部を吉野川が東流する。面積54.46平方キロメートル、山地が約8割を占め、平地は南部に見られる。最高点は 929.9m、最低点は約 65m(吉野川)。黒川原谷川、小川谷川、滝久保谷川、増川谷川などの河川が山地から流れ出し、吉野川に注いでいる。北は讃岐山脈を隔てて、香川県仲多度郡仲南町、同県三豊郡財田町と、東は徳島県三好郡三野町と、西は同郡池田町と、南は吉野川をはさんで三好郡三加茂町、井川町と接している。北部は東山、南東部は足代、南西部は昼間の3つの大字に分けられる。
 山地の植生は、純粋な意味での自然植生は殆んど無く、コナラなどの落葉広葉樹とアカマツの二次林が多いが、所々には良く発達した林もある。伐採跡の若い群落やヒノキ植林もかなり広く見られる。山地内にも集落が分布し、周辺は畑地や生活林として利用されている。平野部は農耕地や集落・市街地となっている。吉野川流域は、河原やツルヨシなどの草地の他、良く発達した広葉樹の樹林帯や竹林が見られる。
2.調査方法と調査地区
 鳥類班は三好町の野生鳥類の分布、生息状況を調査した。鳥類は、自然環境、植生、高度の違いや季節によって種類、個体数が変化する。渡り鳥は年によって渡来数が変動する。そのため、様々な環境について出来れば3年程度継続した調査を行ないたい。しかし、日時に制約があるので、今回の総合学術調査では主として讃岐山脈沿いの山地と吉野川流域について調査した。1992年1月から予備調査を行ない、本調査は山地は6月から、吉野川は3月から始め、同年12月〜1993年1月初旬まで行なった。その他の地域についても可能な限り調査を行ない、三好町全体の鳥類相の把握に努めた。
 調査方法は主としてライン・センサスに拠った。全長1〜2km の調査コースを設定し、時速2km 程度で歩行し、半径 25m 以内で確認した鳥の種類と個体数をすべて記録するものである。調査コースは、出来るだけ同一環境内を通るよう設定するのが望ましい。範囲外であっても、コース内と連続した同一の環境内に生息し得ると判断された種類についても適宜記録し、ライン・センサス法の不備を補うよう努めた。調査コースは図1に示す通りで、山地に2か所、吉野川に1か所設定した。
3.調査結果
 讃岐山脈沿いの山地と、吉野川流域を中心として行なった調査の結果を以下に記す。
(1) 山地の林
 1 ライン・センサス調査
 調査コースは2本共、四国電力送電線の鉄塔と鉄塔を結ぶ巡視道を利用した。コース1 は、全長約 1.8km、海抜高度約 530〜450〜680m。途中で増川谷川の上流部を渡る。コース
2 は、全長約 2.2km、高度約 650〜833m。終点付近は香川県との境を通る。現存植生は、1 、2 共コナラなど落葉広葉樹林やアカマツの二次林とそれらの混交林、ヒノキを主とする針葉樹植林、森林伐採跡の若い群落から成り、三好町の山地の現状をよく代表している。1 ではヒノキ植林がより多く見られ、2 ではウリハダカエデ、コハウチワカエデなどカエデ類を混じえた良く発達した落葉樹林が、谷川沿いや香川県との境の稜線に見られる。調査結果は表1、表2に示す通りである。比較し易くするため、数値は全長 1.0km 当たりに換算してある。
 高度 1000m 以下の暖温帯に生息する森林性と林縁(えん)性の種類がほぼ記録された。トラツグミとクロツグミは、山地の奥深いよく茂った林に生息する。前者は、夜間さえずることが多く数も少ないため姿の確認は容易でない。後者は、特にコース2 ではあちこちでさえずり声がよく聞かれた。両種共ミミズが好物で、高木の枝に営巣するため、生活には自然度の高い森林が必要である。ヒガラは、徳島県内では高度 500m 以上の山地に多い。ここでも恒常的に記録された。ミソサザイは、繁殖期には山地の奥深い渓流沿いの林に生息する。少数記録された。アオバト、サンコウチョウ、キビタキは広葉樹の多いよく茂った林を好むが、非常に少なく、キビタキはここでは記録されなかった。ヒヨドリ、メジロは暖温帯性鳥類の代表種である。高度が上がるにつれて少なくなる。前者は林縁的環境にもよく適応している。後者は常緑広葉樹を好む。ここでは、ヒヨドリは多いが、メジロは少なかった。ルリビタキ、シロハラ、キクイタダキ、アオジ、クロジ、アトリ、マヒワ、ウソなどは冬鳥として渡来する。厳冬期は温暖地へ移動して越冬するものもある。カヤクグリ、ベニマシコも冬鳥であるが、よく茂った林には住まず、疎林や林縁部、森林伐採跡の若い群落を好む。
 以上のことから、この調査コースは、暖温帯上部的な鳥類相であると言えるが、人為による森林の改変もかなり進んでいるため、そのような環境を好むか或いは適応出来る種類もかなり入り込んでいると考えられる。しかし、なお自然度の高い森林を好む種類が生息出来る環境も残されていると言える。
 2 冷温帯性鳥類について
 徳島県では海抜高度 1000m 以上 1700m までは冷温帯とされ、自然植生はブナなど落葉広葉樹林となる。冷温帯を代表する鳥類は、オオアカゲラ、コガラ、ゴジュウカラである。三好町は最高点が 929.9m である。同じ讃岐山脈山系では、過去にオオアカゲラが三野町大川山(高度約1000m)と脇町大滝山(約900m)で、コガラとゴジュウカラが池田町雲辺寺山(約900m)で記録がある。三好町の山地でも生息の可能性があると考え、調査を行なった。しかし確認されなかった。その理由として、第1に高度の高い山地の連なりが不足していること、第2に最高点付近の林は、天然生であるものの大木の少ない二次林状であること、などが考えられる。しかし、林を自然に放置し天然更新が進めば、やがて生息するようになる可能性もあると考えられる。
 3 里山地帯
 より高度の低い南部の山地や、山合いの集落周辺では、讃岐山脈沿いとは若干異なった鳥類相が見られる。基本的な鳥類相は同じである。しかし、繁殖期にはヒガラ、ミソサザイは姿を消し、アオバト、カッコウ、ツツドリ、トラツグミ、クロツグミなどは少なくなるか、殆んど生息しなくなる。その理由として、高度が低くなること、若い二次林が多くなること、森林が生活林としてよく利用されていること、道路や農耕地、開発などにより森林が分断されていること、などが考えられる。
 ところが、このような環境がかえって冬期(非繁殖期)に鳥類の種類や個体数が増える原因となる場合がある。人為による改変の程度が余り強くなければ、林縁的要素の強い二次的な環境(半自然)は小規模ながら様々な植物群落が混じり合っているので、植物や昆虫など小動物の数や種類も多い。非繁殖期は餌と水場、安全なねぐらが確保されれば良い生息地となるので、人里近くであってもこのような環境には多くの鳥類が集まって来る。冬鳥には、渡来当初は山奥の林で過ごし、寒さが厳しくなるにつれて低地へ移動するものもある。繁殖期は山奥の林で繁殖活動を行い、冬期は人里近い山地で暮らす種類もある。このように、多くの鳥類にとっては、どちらの環境も必要不可欠なのである。
 4 アオゲラの巣穴の発見
 1992年6月10日に、ライン・センサスコース2 でアオゲラの巣が見つかった。谷川沿いの落葉広葉樹林内で、ミズキと思われる樹木の、幹が2つに分かれているもののうち、枯れた方の幹に巣穴が開いていて、メス成鳥が巣穴に入るのが確認された。海抜高度約 670m。12月5日に計測を行ない、次の資料を得た。地面から巣穴までの高さ、鉛直方向 280cm、幹に沿って 310cm。巣穴の直径6〜7cm。幹の直径は、巣穴のある位置で 19.4cm、胸高で 21.3cm。巣穴の深さは計測困難であったが 32〜34.5cm。巣穴の奥行き 15.5cm。巣穴の開いた方角は西南西で谷川の流れの方に向けて開いていた。以上の資料から、本種の生息には、胸高直径 21.3cm 以上の樹木がたくさん生えている自然度の高い森林が広い面積連続して存在することが必要であることがわかる。このような林には、他の多くの森林性鳥類も生息出来る。
 なお、近くの倒木にも古いキツツキの巣と思われる穴が開いていた。計測してみると、巣穴の直径 4.3cm、深さ 11cm、巣穴の入口がある部分の幹の直径 14cm であった。これは、コゲラのものであると思われる。(以上計測者、北岡祥治、東條秀徳、増谷正幸)
(2)吉野川流域
 調査コースを設定したセンサスと、範囲を広げた生息調査を行なった。ライン・センサス調査コース3 は、三三大橋北詰から西へ黒川原谷川との合流点まで行なった。海抜高度約 65〜70m。全長約 1.4km。自然環境は、河原の砂レキ地と草地、ツルヨシ群落、ヤナギの疎林などで、ツルヨシ群落の間は細長い水域があるが、渇水期は干上がる。北はクヌギ、エノキ、アキニレなどの樹林帯と竹林が形成され、南は吉野川の本流が流れ、入江状に入り込んだ水域もある。調査結果は表3に示す通りである。
 これに加えて、美濃田大橋から西へ、JR 土讃線鉄橋、小川谷川との合流点を経て、池田町との境の中洲の島まで生息調査を行なった。これらの結果をまとめて、吉野川流域における記録種を月別に示したのが表4である。
 記録種は67種類に上り、多種多様な鳥類が生息している。最大の特徴は、河川の流域でありながら、山地や森林に本来生息する種類が多く記録されたことである。オオタカ、ハイタカ、ノスリ、アオバト、ツツドリ、コゲラ、ビンズイ、ヒヨドリ、シロハラ、センダイムシクイ、エナガ、シジュウカラ、メジロ、ベニマシコ、イカルなどである。これは、吉野川に沿ってクヌギ、エノキ、アキニレなどから成る発達した広葉樹林帯が存在するためである。そして、周囲に原野状に広がった草地や疎林などの林縁的環境があるため、餌となる小動物や植物も豊富である。水もすぐ近くで得ることが出来る。種類だけでなく、個体数も多い。オオタカ、ハイタカの生息は特筆すべきである。これらハイタカ類は冬鳥として訪れ、主として小鳥類やハトを捕食する。オオタカはカモ類など、より大型の鳥も捕食する。吉野川流域の自然環境の多様さ、豊かさを象徴するものである。
 水域、水辺や湿地に生息する種類ももちろん多い。カイツブリ、ゴイサギ、ササゴイ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、オシドリ、マガモ、カルガモ、コガモ、ミサゴ、クイナ、バン、タマシギ、イカルチドリ、クサシギ、イソシギ、タシギ、セグロカモメ、ヤマセミ、カワセミ、キセキレイ、セグロセキレイ、カワガラス、などである。ミサゴは大型のタカで、魚を専門に捕食する。普通は大きな河川の下流〜河口や海岸沿いに生息する。吉野川を約 63km もさか上った三好町で見られたのは極めて貴重である。カイツブリ、ヤマセミ、カワセミも専ら魚を捕食する。カワガラスは水中に潜って水生昆虫を捕食する。吉野川水域の自然環境の豊かさを示すものであろう。クイナは冬鳥、タマシギはほぼ留鳥として水辺の湿地に生息する。他の平野部の水域が殆んどコンクリート護岸となってしまった現在、吉野川流域の湿地は、残された数少ない生息地として重要である。
 オオヨシキリは、丈の高いツルヨシ群落に夏鳥として渡来し繁殖する。ノビタキは、旅鳥として春、秋に訪れ、原野状の環境を好む。他の平野部が人間の産業・経済活動のため高度に利用し尽くされている現状から考えれば、吉野川流域は貴重な生息地である。
4.おわりに
 今回の総合学術調査の結果、三好町の鳥類相はおよそ次のような特徴が見出せる。
1  讃岐山脈(阿讃山地)の森林では、暖温帯上部によく見られる鳥類が生息する。同じ讃岐山脈が走る土成町、板野町と比べると、トラツグミ、クロツグミ、ミソサザイ、ヒガラなどは確認頻度が高かった。反面、林縁的環境を好む種類もかなり多い。
2  吉野川流域は、樹林帯、疎林、ツルヨシ群落、草地、砂レキ地、湿地、水辺、水域など多様な環境が見られる。それに対応して、生息する鳥類も多種多様であった。吉野川の中流域から上流域の接点に存在する、野生生物の宝庫と言える。

 以上の点を踏まえつつ、次の2点を要望致したい。
1  三好町の山地の森林は、現在コナラ、アカマツの天然生二次林が多いが、ヒノキ植林も進んでいる。生態系の多様さを持続するため、天然生二次林を維持する方向での利用を主眼とし、人工植林や林道開設を進め過ぎないよう森林計画を考えていただきたい。
2  吉野川流域は貴重な自然、半自然が残っている。竹林などは洪水防止の役に立っている。吉野川の治水は、自然の機能を生かした方法で行うべきである。岸をコンクリートで固め、野生動物の生息地を分断し、すみかを奪うようなやり方は避けるべきである。
[調査参加・協力者]北岡祥治、曽良寛武、東條秀徳、新居正利、増谷正幸、八巻吉子
5.三好町鳥類目録
 1992年1月24日〜1993年1月3日の現地調査で記録された種名と、その三好町における生態、生息環境の概要を掲げる。具体的な記録は、紙幅の制約上、本文や表を補うものと、特に重要な種類、行動、分布に限定して記載した(記録年月日、場所・地名・字名、地図メッシュ番号、海抜高度、個体数、環境、行動、記録者名)。地図メッシュ番号は、5万分1地形図「池田」を縦・横それぞれ20等分し、さらに縦・横それぞれ2等分して出来たメッシュ(a〜d)を単位として記録地を表わしている(図1参照)。種名の後の◎印は三好町での繁殖が確認されたか、或いは確実な種類を、○印は繁殖可能性がある種類を、△印は今回の調査だけでは何とも言えない種類を示す。なお、詳しい調査を継続して行なえば、さらに記録種が増えると思われる。

   カイツブリ目 PODICIPEDIFORMES
  カイツブリ科 PODICIPITIDAE
1.カイツブリ Podiceps ruficollis  ○
 流れのゆるやかな水域に生息。潜って魚を捕食。主として冬期に吉野川で見られる。
 1992.5.1 吉野川[I4b] 70m 1夏羽 北岸と中洲の間の水域でさえずる。
  コウノトリ目 CICONIIFORMES
 サギ科 ARDEIDAE
2.ゴイサギ Nycticorax nycticorax
 河川など水域の岸辺に生息し魚などを捕食する。木の枝で休んだりねぐらを取る。
 1992.8.3 吉野川[J6a] 70m 12+成・若 樹林と岩場の間の止水域〈増谷〉
3.ササゴイ Butorides Striatus
 夏鳥だが三好町内では繁殖しないと思われる。生態はゴイサギに似る。
 1992.6.19 吉野川[J8ac] 70m 1成・1若 入江状止水域の岸のヤナギ
4.アマサギ Bubulcus ibis
 夏鳥だが三好町内では繁殖しないと思われる。草地や農耕地でバッタなど小動物を捕食。
 1992.5.21 西原〜東原(足代)[I8bd] 80m 19 耕した畑で採餌〈増谷〉
 1992.6.4 吉野川[J4a] 75m 1 中洲のクスノキ大木にとまる〈増谷〉
 1992.8.3 重田(昼間)[I5d] 76m 6 畔の草地を歩きながら採餌〈増谷〉
5.ダイサギ Egretta alba
 吉野川の岸辺に生息し、魚などを捕食する。
6.コサギ Egretta garzetta
 河川など水域の岸辺に生息し、魚などを捕食する。周年見られる。
7.アオサギ Ardea cinerea
 吉野川など水域の岸辺に生息し、魚などを捕食する。周年見られる。
  ガンカモ目 ANSERIFORMES
 ガンカモ科 ANATIDAE
8.オシドリ Aix galericulata  ○
 冬鳥だが繁殖期の記録もある。岸辺が樹林となった水域に生息し、ドングリ類を食べる。
 1992.6.4 吉野川[I4b〜J4a] 70m 1♀・1♂ 中洲の中の池のほとりの土の上で休む〈増谷〉
9.マガモ Anas platyrhynchos
 冬鳥。吉野川などの水域に生息する。
 1993.1.3 吉野川[I4b] 70m 177 中洲の中の泥水の池と岸辺に〈増谷〉
10.カルガモ Anas poecilorhyncha  △
 吉野川など河川と周辺の湿地に生息する。
 1992.3.17 吉野川[I4b] 70m 4+ 中洲の中の泥水の池に〈増谷〉
11.コガモ Anas crecca
 冬鳥。吉野川などの水域に生息する。
 1992.3.17 吉野川[I4b] 70m 2 中洲の中の泥水の池に〈増谷〉
  ワシタカ目 FALCONIFORMES
 ワシタカ科 ACCIPITRIDAE
12.ミサゴ Pandion haliaetus
 吉野川に生息する。魚を捕食する。三好町までさか上って来るのは珍しい。
 1992.4.18 吉野川[I9c] 65m 1 空中から川に飛び込む〈増谷〉
13.ハチクマ Pernis apivorus  ○
 夏鳥。山地の林に生息し、高木に営巣する。蜂の幼虫やサナギを食べる。少ない。
 1992.7.10 棟木北方[D3c] 670m 1 尾根上空を舞って北へ〈増谷〉
14.トビ Milvus migrans  ◎
 留鳥。里山から平野部に生息。高木に営巣する。徳島県東部に比べれば少ない。
15.オオタカ Accipiter gentilis
 冬鳥。山地の林や吉野川流域の原野に生息する。少ない。鳥類を捕食する。
 1992.12.5 東山峠東方[A6b] 670m 1 上空を東へ〈北岡、東條、増谷〉
 1992.12.6 吉野川[I8b] 65m 1若 ツルヨシ群落上を飛んで竹林へ〈曽良〉
16.ハイタカ Accipiter nisus
 冬鳥。山地の林や吉野川流域の原野に生息する。鳥類を捕食する。
 1992.12.6 吉野川[I8b] 65m 1♂成鳥 ツルヨシ群落内から飛び立ちヤナギの枝にとまる〈曽良、増谷〉
17.ノスリ Buteo buteo
 冬鳥。山地の林から平野部の原野に生息する。ネズミを捕食する。少ない。
 1992.12.5 石木[F4b] 300m 1 枯れたアカマツにとまる〈北岡、東條〉
18.サシバ Butastur indicus  ◎
 夏鳥。山地の林に生息し、高木に営巣する。昆虫などを捕食する。
 1992.6.12 滝久保[C4c] 600m 1 上空帆翔 カケスにつきまとわれる
 1992.7.3 小川谷川上流部[B7c] 500m 1 山林でさえずり声〈増谷〉
  キジ目 GALLIFORMES
 キジ科 PHASIANIDAE
19.コジュケイ Bambusicola thoracica  ◎
 留鳥。中国大陸からの帰化種。山地から平野部まで広く分布し、林縁(えん)部を好む。
20.ヤマドリ Phasianus soemmerringii  ◎
 留鳥。山地の広葉樹の多いよく茂った林を好む。
 1992.12.19 増川谷川上流部[D2a] 500m 3 林縁(えん)の日だまりで〈増谷〉
21.キジ Phasianus colchicus  ◎
 留鳥。里山から平野部にかけての林縁(えん)部に生息する。
  ツル目 GRUIFORMES
 クイナ科 RALLIDAE
22.クイナ Rallus aquaticus
 冬鳥。河川周辺の湿地に生息する。少ない。
 1992.3.11 吉野川[I9d] 65m 1 北からの小さな流れ沿いの草地〈増谷〉
23.バン Gallinula chloropus  ○
 流れのゆるやかな河川や溜池と、周辺の湿地に生息する。三好町では少ない。
 1992.1.24 行安(足代)[I7c] 105m 3 西ノ池の西岸の茂みに〈増谷〉
 1992.2.14 中ノ段(足代)[H8b] 100m 1亜成鳥 溜池に〈増谷〉
 1992.5.1 吉野川[I4b] 70m 2 岸辺のツルヨシの茂みに〈増谷〉
  チドリ目 CHARADRIIFORMES
 タマシギ科 ROSTRATULIDAE
24.タマシギ Rostratula benghalensis  ○
 河川など水辺周辺の湿地に生息する。少ない。
 1992.11.28 吉野川[J4a] 70m 1♀・1♂ 中洲の岸辺に〈増谷〉
 1993.1.3 吉野川[J4a] 70m 1♀・1♂ 中洲のヤナギ疎林の地上〈増谷〉
 チドリ科 CHARADRIIDAE
25.イカルチドリ Charadrius placidus  ◎
 留鳥。吉野川の河原の砂レキ地や水辺に生息する。
 シギ科 SCOLOPACIDAE
26.クサシギ Tringa ochropus
 冬鳥〜旅鳥。吉野川などの河原や水辺に生息する。
 1992.8.3 吉野川[J4a] 70m 1 中洲と中洲の間の流れの岸辺〈増谷〉
27.イソシギ Tringa hypoleucos
 冬鳥〜旅鳥。吉野川などの河原や水辺に生息する。
28.タシギ Gallinago gallinago
 冬鳥〜旅鳥。河川など水辺周辺の湿地に生息する。
 カモメ科 LARIDAE
29.セグロカモメ Larus argentatus
 冬鳥。吉野川に生息する。三好町までさか上って来るのは珍しい。
  ハト目 COLUMBIFORMES
 ハト科 COLUMBIDAE
30.キジバト Streptopelia orientalis  ◎
 留鳥。平野部から山地まで広く分布するが、林縁(えん)部や農耕・集落地周辺に多い。
31.アオバト Sphenurus sieboldii  ◎
 山地の広葉樹の多いよく茂った林を好む。少ない。非繁殖期には里山や吉野川流域にも現われる。木の実が主食である。
  ホトトギス目 CUCULIFORMES
 ホトトギス科 CUCULIDAE
32.カッコウ Cuculus canorus  ○
 夏鳥。モズ、オオヨシキリ、ホオジロなどに托卵する。三好町ではかなり記録された。
 1992.5.28 増川谷川上流部[D2a] 600m 1 山地でさえずり声〈増谷〉
 1992.6.26 滝久保[B5d] 550m 1 山地でさえずり声〈増谷〉
 1992.6.26 樫ノ休場[B8c] 850m 1 山地でさえずり声〈増谷〉
 1992.7.3 小川谷川上流部[A7d] 650m 1 山地でさえずり声〈増谷〉
 1992.7.24 棟木の奥[C3b] 700m 1 枯れたアカマツの枝先でさえずる。近くでヒヨドリが騒ぐ〈増谷〉
33.ツツドリ Cuculus saturatus  ○
 夏鳥。センダイムシクイなどに托卵する。三好町では、カッコウより少なかった。
34.ホトトギス Cuculus poliocephalus  ◎
 夏鳥。主としてウグイスに托卵する。三好町では余り多くなかった。
  アマツバメ目 APODIFORMES
 アマツバメ科 APODIDAE
35.アマツバメ Apus pacificus
 旅鳥として上空を通過する。飛びながら昆虫を捕食したり眠ったりする。
  ブッポウソウ目 CORACIIFORMES
 カワセミ科 ALCEDINIDAE
36.ヤマセミ Ceryle lugubris
 山地の渓流に生息し、冬期は下流に下る。三好町では冬期吉野川で記録。魚を捕食する。
 1992.2.18 吉野川[I9d] 65m 1 川面を飛ぶ〈増谷〉
 1992.10.25 吉野川[J6c] 70m 1 早瀬の石の上に〈増谷〉
37.カワセミ Alcedo atthis  ◎
 留鳥。河川など水辺に生息し、水中に飛び込んで魚を捕食する。土の崖に嘴で穴を掘って営巣するので、営巣適地がコンクリート等で固められると致命的である。
  キツツキ目 PICIFORMES
 キツツキ科 PICIDAE
38.アオゲラ Picus awokera  ◎
 留鳥。山地の林に生息。樹木の幹に嘴で穴を掘って営巣したりカミキリムシ幼虫を捕食。
 1992.5.28 増川谷川上流部[D2bd] 530m 1♀・1幼鳥 アカマツの幹に
 1992.6.10及び12 棟木の奥[C3d] 670m 1♀ ミズキと思われる樹木の幹に開いた巣穴に周囲を警戒しつつ入る〈増谷〉巣穴等の計測値は本文に記載。
39.コゲラ Dendrocopos kizuki  ◎
 留鳥。山地の林や吉野川流域の樹林帯に生息する。習性はアオゲラに似る。
  スズメ目 PASSERIFORMES
 ヒバリ科 ALAUDIDAE
40.ヒバリ Alauda arvensis  ◎
 留鳥。平野部の、農耕地や丈の短い草地に生息する。
 ツバメ科 HIRUNDINIDAE
41.ツバメ Hirundo rustica  ◎
 夏鳥。平野部から山合いの集落付近に生息し、人家に営巣する。飛ぶ昆虫を捕食する。
 1992.3.11 吉野川[I9c] 65m 2 川面を飛ぶ〈増谷〉
 1992.3.17 吉野川[J5c] 70m 80± 川面を飛ぶ〈増谷〉
 1992.6.1 増川[F3a] 270m 2 水田の上を飛ぶ〈増谷〉
 1992.6.19 滝久保[C5d] 550m 2 電線にとまりさえずる〈増谷〉
 1992.6.26 滝久保[D5c] 480m 18 電線で給餌を受けたりする〈増谷〉
42.コシアカツバメ Hirundo daurica  ○
 夏鳥。コンクリート建物などの壁にとっくり型の巣を作り繁殖する。今回は、すぐ西の池田町東洲津で繁殖確認されたので、三好町での繁殖可能性もある。
43.イワツバメ Delichon urbica
 三好町では、旅鳥として通過して行くものと思われる。
 1992.3.17 吉野川[J6c] 70m 45± 川面を飛ぶ〈増谷〉
 セキレイ科 MOTACILLIDAE
44.キセキレイ Motacilla cinerea  ◎
 留鳥。平野部から山間部までの水辺周辺に生息する。山合いのスズメのいない集落では人家の屋根裏などに営巣する。昆虫、クモなど小動物を捕食する。
45.ハクセキレイ Motacilla alba
 冬鳥。平野部の丈の短い草地、農耕地、河原に生息する。昆虫など小動物を捕食する。
46.セグロセキレイ Motacilla grandis  ◎
 留鳥。平野部の水辺周辺に生息する。昆虫など小動物を捕食する。
47.ビンズイ Anthus hodgsoni
 冬鳥。平野部から山地の林縁(えん)部や疎林に生息する。
 1992.1.24 吉野川[J8c] 70m 3 河原の丈の短い疎草地〈増谷〉
48.タヒバリ Anthus spinoletta
 冬鳥。平野部の丈の短い草地、農耕地、河原に生息する。昆虫など小動物を捕食する。
 1992.1.24 美濃田(足代)[I7a] 100m 20± 畑地に〈増谷〉
 1992.3.17 宮内(昼間)[I5b] 78m 3 すき返して湿った畑地〈増谷〉
 ヒヨドリ科 PYCNONOTIDAE
49.ヒヨドリ Hypsipetes amaurotis  ◎
 留鳥。山地の林や吉野川流域の樹林帯に生息する。冬期は、里山〜平野部に多くなる。
 1992.5.1 吉野川[I4b] 70m 1 中洲のヤナギに絡まったビニールのひもをくわえて北岸の広葉樹林帯へ入る〈増谷〉
 1992.7.24 棟木の奥[C3d] 670m 1 飛ぶ虫をフライング・キャッチする
 モズ科 LANIIDAE
50.モズ Lanius bucephalus  ◎
 林縁(えん)部に生息。早春、平野部で営巣、繁殖する。夏になると山地の奥でも見られる。
 1992.6.12 滝久保の奥[C3a] 750m 1♀・1♂ 林縁のアカマツこずえにとまる。♂は求愛のダンスを踊りぐぜる。♂の色彩は白っぽい〈増谷〉
 カワガラス科 CINCLIDAE
51.カワガラス Cinclus pallasii  ◎
 山地の渓流に生息する。少ない。非繁殖期には吉野川でも見られる。
 1992.1.28 増川谷川[D2b] 370m 1 谷川に〈増谷〉
 1992.7.10 増川谷川[D2a] 450m 1 谷川に沿って飛ぶ〈増谷〉
 ミソサザイ科 TROGLODYTIDAE
52.ミソサザイ Troglodytes troglodytes  ◎
 山地の谷川沿いのうす暗い林を好む。少ない。
  イワヒバリ科 PRUNELLIDAE
53.カヤクグリ Prunella rubida
 冬鳥。山地の林縁部に生息する。少ない。
 1993.1.1 滝久保の奥[C3a] 750m 5 伐採跡の倒木の陰やヤブに〈増谷〉
  ヒタキ科 MUSCICAPIDAE
 (ツグミ亜科 TURDINAE)
54.ルリビタキ Tarsiger cyanurus
 冬鳥。山地の林に生息する。
 1992.11.29 滝久保の奥[B4d] 750m 1♀型 コナラ、アカマツ二次林で。近くのジョウビタキ♀を警戒して、不完全なさえずり声ときしり音を出す〈増谷〉
55.ジョウビタキ Phoenicurus auroreus
 冬鳥。平野部から山地の林縁部に生息する。
 1992.10.11 増川谷上流部[D2a] 610m 1♂ 林縁の低木にとまる〈増谷〉
56.ノビタキ Saxicola torquata
 旅鳥。吉野川流域の原野状の環境に生息する。少ない。越冬している可能性もある。
 1992.3.17 吉野川[I4b] 70m 1 小川谷川との合流点付近の河原の岩の上で、舞い上がっては下りる動作を繰り返す〈増谷〉
 1992.4.23 吉野川[I4b] 70m 1 小川河原との合流点付近の河原。ひらひらと舞い上がり流れの上の飛ぶ虫を追い、ツルヨシ群落へ降りる〈増谷〉
57.トラツグミ Turdus dauma  ◎
 山地の腐植層の発達したよく茂った林に生息する。少ない。ミミズを好んで捕食する。
58.クロツグミ Turdus cardis  ◎
 夏鳥。山地の腐植層の発達したよく茂った林に生息する。ミミズを好んで捕食する。三好町の讃岐山脈ではかなり多く記録された。
 1992.6.10 滝久保の奥[C3a] 770m 1 山林で、キビタキかコジュケイのさえずり声を取り入れて朗々とさえずる〈増谷〉
 1992.6.12 棟木の奥[C3d] 700m 1♂・2幼鳥・1+ 落葉広葉樹林の林床で。♂は警戒してしきりに鳴く〈増谷〉
 1992.6.12 滝久保の奥[B4d] 750m 1♂ 飛んできてアカマツ枝にとまり、胸をそらせて膨らます。その後、実のなったヤマザクラ茂みへ〈増谷〉
 1992.7.24 讃岐山脈稜線沿い[B3d] 860m 1 落葉広葉樹とアカマツの混交林で、シジュラカラのさえずり声を取り入れてさえずる〈増谷〉
59.シロハラ Turdus pallidus
 冬鳥。山地の広葉樹の多い林に生息する。林床に堆積した落葉を嘴ではねのけて土壌動物を捕食したり、木の実を食べたりする。吉野川流域の樹林にも生息する。
 1992.10.18 讃岐山脈稜線[A7b] 740m 3+ コナラとアカマツの二次林
60.マミチャジナイ Turdus odscurus
 旅鳥〜冬鳥。山地の林に生息。年によって渡来数に変動がある。習性はシロハラに似る。
 1992.10.18 東山峠東方[A6b] 680m 10± 落葉広葉樹林で〈増谷〉
61.ツグミ Turdus naumanni
 冬鳥。平野部から山地の林縁部に生息する。習性はシロハラに似る。餌が多く生息条件の良い所には多数集まって来る。
 1992.11.14 讃岐山脈稜線[B4c] 830m 1 タラノキの実を食す〈増谷〉
 1993.1.3 吉野川[I4b] 75m 45± 河原の木の枝にとまる〈増谷〉
 (ウグイス亜科 SYLVIINAE)
62.ヤブサメ Cettia squameiceps  ◎
 夏鳥。山地の低木層の発達した林に生息する。斜面のへこみや窪地に営巣する。
 1992.6.10 滝久保の奥[A5d] 810m 2成・3+幼 落葉広葉樹とアカマツ混交林林床。低木層はアセビ、ヒサカキ、ツゲ、ミツバツツジ、ウグイスカグラなど。
63.ウグイス Cettia diphone  ◎
 山地や吉野川流域のササやヤブ状地に生息する。冬期は庭園なども訪れる。
64.オオヨシキリ Acrocephalus arundinaceus  ◎
 夏鳥。吉野川流域のツルヨシ群落に生息する。本種の営巣・繁殖には、丈の高いヨシやツルヨシの群落が広い面積にわたってまとまって残されていることが必要である。
65.センダイムシクイ Phylloscopus occipitalis  ◎
 夏鳥。山地の落葉広葉樹林に生息する。渡りの際には吉野川流域の樹林にも現われる。
 1992.6.1 増川谷上流部[D2b] 540m 1 ヤマハゼの葉裏のキリギリス科昆虫を捕え食する。
 1992.6.26 滝久保[B5d] 550m 1幼鳥 エナガ、シジュウカラの群れ中に
66.キクイタダキ Regulus regulus
 冬鳥。山地のアカツキ、スギ、ヒノキ林を好み、枝葉に潜む小動物を捕食する。
67.セッカ Cisticola juncidis  ◎
 吉野川流域の草地に生息。ススキ、ツルヨシなど高茎草本の茎に巣を懸け繁殖する。
 (ヒタキ亜科 MUSCICAPINAE)
68.キビタキ Ficedula narcissina  ◎
 夏鳥。山地の自然林に生息する。樹洞に営巣するため、よく発達した自然林が広く保存されていないと繁殖は困難である。三好町では少ない。
 1992.6.19 小川谷川沿い山地[H5cd] 250m 1 落葉広葉樹とアカマツの混交林でさえずり声〈増谷〉
 1992.7.3 葛籠[C7] 700m 1 山林でさえずり声〈増谷〉
69.オオルリ Cyanoptila cyanomelana  ◎
 夏鳥。山地の渓流沿いの林に生息する。
 1992.6.12 滝久保の奥[B4d] 670m 1♂・1♀・3幼鳥 幼鳥は低木層の茂みから飛び出しコナラやヤマザクラにとまる。♀は不完全なさえずりをする〈増谷〉
70.エゾビタキ Muscicapa griseisticta
 旅鳥。毎年9月上旬〜10月下旬に日本列島を南下して行く。樹木の枝先にとまり、近くを飛ぶ虫をフライング・キャッチしたり、クマノミズキなどの木の実を食べる。
 1992.10.17 小山(足代)[J7a] 75m 1 吉野川沿いのサクラにとまる
 (カササギヒタキ亜科 MONARCHINAE)
71.サンコウチョウ Terpsiphone atrocaudata  ◎
 夏鳥。広葉樹の多い密生して湿った林を好む。少ない。
 1992.6.1 増川谷上流部[D3c] 620m 1 山林でさえずり声〈増谷〉
 エナガ科 AEGITHALIDAE
72.エナガ Aegithalos caudatus  ◎
 留鳥。山地や吉野川流域の樹林に生息する。2月上旬頃から繁殖活動を開始し、ヒナが巣立つと数家族が集まって大きな群れとなり移動して行く。それに他の種類の鳥が加わって混群を形成する。コナラなどの二次林では普通に見られる。
 シジュウカラ科 PARIDAE
73.ヒガラ Parus ater  ◎
 繁殖期はおおむね海抜高度 500m 以上の天然生針葉樹の多い林に生息する。冬期は低山にも現われることがある。ヒノキ、スギ植林にも見られ、樹冠部で小動物を捕食する。
74.ヤマガラ Parus varius  ◎
 留鳥。山地の広葉樹の多い林に生息する。樹洞に営巣する。冬期に餌となる木の実を貯蔵する習性がある。アカマツの種子も好む。
75.シジュウカラ Parus major  ◎
 留鳥。生息環境はヤマガラに似るが、より適応性が広く、吉野川流域の樹林にも生息する。適当な営巣場所が無い場合は、人工建造物の穴やすき間もよく利用する。
 1992.6.12 讃岐山脈稜線[B4c] 833m 1♀・1♂ ♀がコケをくわえて、送電線鉄塔の水平な鉄パイプの穴へ入る(地上約 20m)。♂は近くで待つ〈増谷〉
 メジロ科 ZOSTEROPIDAE
76.メジロ Zosterops japonica  ◎
 留鳥。山地から吉野川流域の林に生息する。低山地に多い。常緑広葉樹を好み、茂みで小動物を捕食したり、木の実を食べる。冬期は庭園などをよく訪れる。
 ホオジロ科 EMBERIZIDAE
77.オオジロ Emberiza cioides  ◎
 留鳥。山地から平野部まで、林縁部に広く分布する。
78.カシラダカ Emberiza rustica
 冬鳥。吉野川水系など平野部や山麓の林縁部に生息する。
 1992.1.24 行安(足代)[I7c] 105m 5 西ノ池北岸の草地に〈増谷〉
 1992.1.24 黒川原谷川[J8c] 75m 8+ 河原の草ヤブに〈増谷〉
79.ミヤマホオジロ Emberiza elegans
 冬鳥。山地の落葉広葉樹の多い明るい林や周辺の林縁部に生息する。
80.アオジ Emberiza spodocephala
 冬鳥。山地から平野部にかけての明るい林や林縁部、ヤブ状地に生息する。
81.クロジ Emberiza variabilis
 冬鳥。山地の広葉樹の多い林に生息。ホオジロ科の中では最も森林的環境を好む。
 アトリ科 FRINGILLIDAE
82.アトリ Fringilla montifringilla
 冬鳥。山地の林に生息する。1か所にとどまらず、群れを作って移動しながら越冬する。
 1992.10.18 樫の休場[B8c] 850m 59± 林縁の草ヤブに下りたり、ヒノキ、スギ、イタヤカエデにとまる〈増谷〉
83.カワラヒワ Carduelis sinica  ◎
 里山周辺の林縁部に生息し高木に営巣する。冬期は吉野川河原などに群れで見られる。
84.マヒワ Carduelis spinus
 冬鳥。山地の林に生息する。群れで移動しながら越冬する。スギの種子などを食べる。
 1992.12.19 増川谷上流部[D2a] 470m 8+ スギに集まる〈増谷〉
85.ベニマシコ Uragus sibiricus
 冬鳥〜旅鳥。山地や吉野川流域の疎林や林縁部に生息する。
 1992.12.19 増川谷上流部[D2a] 490m 1♂ 伐採跡のススキなどの草地に
86.ウソ Pyrrhula pyrrhula
 冬鳥。山地の広葉樹の多い林に生息する。木の実の種子や冬芽、新芽、花芽を食べる。
 1992.12.19 増川谷上流部[D2a] 560m 1♀・3♂ 谷川で水浴をした後、近くの落葉広葉樹の枝で羽づくろいをする〈増谷〉
87.イカル Eophona personata  ◎
 留鳥。山地や吉野川流域の広葉樹の多い林に生息する。木の実の種子などを食べる。
 1992.6.10 讃岐山脈稜線[B4c] 790m 3+ 実の成ったヤマザクラにとまる。種子の殼を割るパチパチという音がよく聞こえる。〈増谷〉
88.シメ Coccothraustes coccothraustes
 冬鳥。平野部から里山に生息し、ムクノキなどの木の実の種子を嘴で割って食べる。
 1993.1.3 吉野川[J4a] 75m 4+ 中洲の広葉樹林の林床のササヤブに
 ハタオリドリ科 PLOCEIDAE
89.スズメ Passer montanus  ◎
 人家、農耕地周辺に生息する。山間部へ入るにつれて少なくなり、遂には人家があっても生息しなくなる。繁殖期が終わると、その年生まれの若鳥だけが集まって群れを作り、定住適地が見つかるまであちこち移動して行く。
 1992.1.28 中屋(昼間)[I6d] 83m 200± 柿園に群れる〈増谷〉
 1992.10.18 男山[D6c] 400m 6± 人家の屋根にとまる〈増谷〉
 ムクドリ科 STURNIDAE
90.ムクドリ Sturnus cineraceus  ◎
 留鳥。平野部に普通に生息する。本来は樹洞に営巣するが、大木・古木が少なくなった現在では人家の屋根裏や戸袋などに営巣する。繁殖期は大量の小動物をヒナに与える。秋冬期には、その年生まれの若鳥が集まって大きな群れを作る。
 1992.6.4 土井(昼間)[I6c] 75m 8± 竹にとまり給餌を受ける〈増谷〉
 1992.8.3 重田(昼間)[J5c] 72m 80±若鶏 エノキに集まり騒ぐ。橙色に色づいた実を食べているものもあり〈増谷〉
 カラス科 CORVIDAE
91.カケス Garrulus glandarius  ◎
 留鳥。山地の広葉樹の多い林に生息する。
 1992.7.24 讃岐山脈稜線[B3b] 840m 4+(うち1+幼鳥) 落葉広葉樹とアカマツの混交林で〈増谷〉
 1992.12.19 増川谷上流部[D2a] 590m 1 落葉樹の枝をつついて回る
92.ハシボソガラス Corvus corone  ◎
 留鳥。平野部の農耕地や吉野川流域に生息する。
 1992.4.18 吉野川[I8b] 66m 50± ハシブトガラス150±と共に、ツルヨシ群落の間の干上がりかけた水域にたまった多数のフナとニゴイの死体に集まる
93.ハシブトガラス Corvus macrorhynchos  ◎
 留鳥。平野部から山地まで広く分布する。
 1992.1.24 吉野川[J8c] 70m 300± 黒川原谷川との合流点付近の樹林と竹林に。辺りを飛んだり、河原に下りたりする。ハシボソガラスも混じる〈増谷〉

 (野生化種)
94.ドバト カワラバト(Columba livia)を家禽化したものの野生化種  ◎
 留鳥。橋の下や建物のすき間などに住みつき繁殖し、近くの畑地で農作物を食害する。
 1992.7.28 吉野川[I9d] 77m 10+ 三三大橋の下側に〈曽良、増谷〉

 参考文献
1)日本野鳥の会徳島県支部目録部 1988 徳島県鳥類目録 日本野鳥の会徳島県支部
2)増谷正幸 1990 土成町の鳥類 総合学術調査報告「土成町」 郷土研究発表会紀要第36号 P61〜81所収 阿波学会・徳島県立図書館
3)増谷正幸 1988 板野町の鳥類 総合学術調査報告「板野町」 郷土研究発表会紀要第34号 P61〜82所収 阿波学会・徳島県立図書館


徳島県立図書館